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第152回 微風集団董事長 廖鎮漢氏


コラム 台湾事情 作成日:2019年3月22日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第152回 微風集団董事長 廖鎮漢氏

記事番号:T00082618

 ショッピングセンター(SC)大手、微風(ブリーズ)グループの「微風南山(ブリーズ南山)」オープンは、弊紙でも今年1月にお伝えしたので、記憶に新しいのではないでしょうか。
https://www.ys-consulting.com.tw/news/81379.html

/date/2019/03/22/11breeze_2.jpg廖鎮漢董事長(中央社)

 JR東日本グループのアトレと組み、多数の海外飲食ブランドを導入。飲食店舗の比率は同業の2倍の45%に達しており、「最強の美食百貨」と業界では注目の的です。

 ブリーズ南山のオープンで、同グループの店舗数は10店舗に拡大。今年の売上高は昨年の220億台湾元を上回る300億元(約1,100億円)を目指します。

孤独で養った実力

 ブリーズグループを率いる董事長の廖鎮漢(ヘンリー・リャオ)氏は1971年生まれ。創業者の父、廖偉志(ポール・リャオ)氏の下、幼いころから厳しい指導を受けて育ちました。4~5歳の時、初めて体験したプールでは、鎮漢は父によっていきなり大人用プールで泳がせられました。15~16歳で1人米国留学をさせられた際は、墓地も見える異国のアパートで、地下室から漏れる音に毎晩おびえながら過ごしたといいます。

 耐えられなくなったころ、父から「何事かを成すためには、まず孤独に耐えねばならぬ」という訓話を受けましたが、家族や友人と国際電話で話したい欲求には勝てませんでした。毎月の電話代に制限を設けられていたにもかかわらず、それを大きくオーバーしてしまい、アルバイトをせざるを得なくなりました。レストランの皿洗い、ゴルフ場のキャディーなどをこなす日々を通じて、何事にも臆せず、強いプレッシャーを受けるほど柔軟性が高まるという特質が養われました。

 その後、努力してオーストラリアのグリフィス大学で経営学と日本文学のダブルディグリー(二重学位)を取得しました。

VIP客を重視

 93年、22歳の時、業界に入った鎮漢氏は、父から微風広場(ブリーズセンター)の開発案件を引き継ぎ、2001年に最初の店舗を台北市復興南路にオープンさせます。1階にはルイ・ヴィトン、ブルガリ、グッチなどの高級ブランドを誘致し、従来の百貨店の専門カウンターでの販売とは一線を画しました。外野からは、「しょせんいいところの坊ちゃまだな」「何もできない門外漢だ」「6カ月でつぶれるだろう」という辛辣(しんらつ)な声も聞こえてきましたが、そんな声も、鎮漢氏をさらに奮い立たせたのでした。

 自らを百貨業ではなく、プレミアムリテール業だと捉える鎮漢氏は、VIP客を重視しており、02年からは毎年、母の日の前の夜、午後6時から12時までVIP客限定の「ブリーズ・ナイト」を開催しています。招待状を手にしたVIP客は、大切な人1人を連れて、毎年異なったテーマで開催される特別な夜を楽しみに訪れます。これまで、▽ラスベガス・ナイト▽ゴールデン・エジプトナイト▽ディズニープリンセスナイト──を開催。昨年はニューヨークをテーマにしたショーや、自由の女神像やオープンカーを用意し、ゴージャスな衣装を身にまとった有名人も多数招きました。当日の売上高は13億5,000万元、100万元を購入した客は120人、1,000万元を購入した人も15人出たほどです。

「廃虚」再生に成功

 鎮漢氏は06年には台北駅の2階売り場の経営権を取得。今では想像できないことですが、当時は3,000坪もありながら廃虚同然の売り場だったため、株主からは反対意見の嵐でした。それでも鎮漢氏は、「ここに台湾最大のフードコートを作る」と譲りません。これが大当たりし、ブリーズが引き継いだ翌年の売上高は8億元と、前のオーナーの4倍にまで成長。続く14~15年には信義区に「微風松高」と「微風信義」を相次いでオープンさせ、店舗を拡大していきました。先日オープンした微風南山は、同地区3店目となります。

 鎮漢氏はまた、いち早く富裕層のグルメ志向に注目し、ブリーズに出店する▽丸寿司▽ラーメン「魂麺」▽うどん「湯布院本川製麺所」──などの日本料理店も自社で運営しています。左手で「食」、右手で「ファッション」を手掛ける方針によって、経営リスクの分散を図れただけでなく、新しい息吹を常にブリーズに常に吹き込み続けているのです。

 鎮漢氏は、ブリーズが他の誰にもできないことを成し遂げてこられたのは、変化を求めるスピリットがあったからと回顧しています。新しいアイデアを導入し、ミスを恐れず、常に学び続けていくことで、ブリーズはこれからもたくましく成長し続けていくでしょう。

 

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荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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