第148回 中華日光交通董事長 王冠懿氏


コラム 台湾事情 2018年11月9日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第148回 中華日光交通董事長 王冠懿氏

記事番号:T00080320

 台湾高速鉄路(高鉄)高雄左営駅のタクシー乗り場には、中華衛星大車隊(中華大車隊)のタクシーが待ち受けています。乗り込むと、運転手が丁寧にあいさつしてくれます。

/date/2018/11/09/20taxi_2.jpg中華衛星大車隊のタクシー。旅行者向けの1日貸し切りプランも予約できる(YSN)

 中華大車隊は、高雄最大手のタクシーで、車両保有台数は1,000台近く、車齢は平均3年以下。高雄市のタクシーのサービス評価ランキングで首位を維持しています。

 中華大車隊を率いるのは中華日光交通の董事長、王冠懿氏。経営学の博士号を取得しつつも、親しみやすい笑顔と穏やかな口調が印象的な女性です。タクシー運転手の経験はありませんが、1990年、車両台数100台未満だった同社を友人から引き継ぎ、老板(社長)になりました。

運転手のマナー改善

 王氏はまず、タクシー運転手に対し▽たばこ▽ビンロウ▽汚い言葉──の「三不(三つのしない)」を求めました。

 こうした長年の習慣を無理やりやめさせたのではありません。毎日オフィスの窓を閉め切ってクーラーをかけ、たばこを吸いづらい環境を作りました。机の上にはクッキーやキャンデーなど菓子を常備し、口寂しくてビンロウをかまないよう仕向けました。また、女性社員を雇い、「汚い言葉を使われると、嫌な気分になる」と言わせました。

賞罰でサービス改革

 2008年、高雄市で初めてGPS(全地球測位システム)配車システムを導入し、「中華衛星大車隊」に名称変更しました。これまで知名度が低く、夜市(ナイトマーケット)の周りで名刺を配ったり、新聞に広告を掲載しましたが、あまり効果は出ませんでした。そこで王氏は、政府の入札に参加したり、企業やオフィスビルからの配車の注文を増やしていきました。

 同時に、さらなるサービス向上を図るため社内規定を制定し、まず制服・ネクタイを着用させ、靴・かばんを黒色に統一しました。

 報奨金制度も取り入れました。例えば、会社に予約があれば、乗車後に電話で運転手に関するアンケートを実施し、評価が良かった場合、運転手に報奨金20台湾元(約74円)を支給しました。一方で、遠回りをされた、笑顔がない、態度が悪い、車内が臭いなどの問題があれば、高級住宅やホテルなどタクシー利用が多い乗り場の「付け待ち(客待ち)」を一定期間させない罰を与えました。

 ただし、運転手が地域奉仕活動や写経などを行えば、処罰の期間を短くしました。王氏は、「処罰は単なる手段にすぎない。運転手に心からサービスを良くしたいと思ってもらうことが目的」と話しています。

 クレームを受けたことのない約60人は、VIP専門チームを編成し、重要人物や口うるさい乗客を担当させました。大変ですが、相応のチップを得ることができます。

 この他、運転手に対し、応急処置、観光ガイド、営業テクニック、日本語や英語などの外国語と各種研修を提供しました。また、台湾では運転手が保有する車両をタクシーとして使用するので、新車を購入しやすいよう、購入後は月給7万元を保証し、4年で元が取れるようにしました。

 こうした仕組みについて王氏は、「わが子に対する母親のように、運転手に接している。しっかり稼いで、家族を養えるようにするのが私の使命であり責任だから」と話しています。

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荘建中

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シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。

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