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第143回 来思達集団 創業者 謝貞徳氏


コラム 台湾事情 作成日:2018年6月15日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第143回 来思達集団 創業者 謝貞徳氏

記事番号:T00077630

 自社ブランドの家具を相場より4割安い価格で販売、マーケティングに巨額の資金を注ぎ込み、家具販売量の世界記録を打ち立てた来思達集団(ライフスタイルグループ)の創業者、謝貞徳氏をご紹介します。

 従来の家具メーカーは、設計し、材料を仕入れ、生産し、販売するという順番で考えていました。謝氏はその逆で、まず販売価格を決定し、設計する人を見つけ、材料を仕入れ、生産を発注します。この「いくらの価格で何を(What)、どれくらいの量(How many)、いつ(When)売るか」というWHW経営法則が成功の秘訣(ひけつ)だと語ります。

 謝氏はかつて、ルイ・フィリップ様式のベッドに目を付けました。世界で年間3,000台売れており、相場は1台1,000米ドルです。「工場に3万台の生産を依頼し、コストを1台460米ドルまで抑えて、販売店に499米ドルで卸す」と決めました。すると、50社もの販売店から引き合いがあり、その年だけで10万台売れました。

 このように、まずいくらの価格なら人気が出るかを考え、その価格で卸売業者の興味を引くことができれば、わずか2~3種類の商品だけを生産する少品種大量生産が可能です。

家具王のリベンジ

 謝氏は当初、1976年に世通木業、80年に大通家具という会社を設立し、88年に売上高20億台湾元(約74億円)を達成、「台湾最大の家具大王」と呼ばれていました。ところが、95年に台北で巨額の資金を投じて家具の量販店「DD堡」を設立したものの経営がうまくいかず、全てを失いました。その後、50歳で米国に渡り、96年に来思達を創業しました。

 来思達は17年連結売上高は76億元と、家具大王と呼ばれた当時の3倍以上の規模に成長。今や、自社ブランド「ライフスタイル」、「上海」、「紫禁城」を世界80カ国・地域の100社以上の家具販売店に卸しています。

マーケティング費を惜しまず

 謝氏はマーケティングにも力を入れています。2010年、中国進出の際には、北京市の故宮博物院(紫禁城)で家具の展示会を開催しました。13年には、上海国際博覧会(上海万博)中国館の設計ライセンスを取得し、中国風の家具展示センターを1億元を投じて建設、完成後に世界28カ国・地域のバイヤー300人を3泊4日で招待しました。

 謝氏は、独ケルン国際家具見本市(ケルンメッセ)なら2,500社がひしめき合い、すぐに忘れられてしまうけれども、自社で展示センターを作れば、買うか買わないかの問題になると話します。

 

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講師:ワイズコンサルティング 顧問 荘 建中

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荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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