コラム

記事番号:T00072904
2017年9月15日15:29

 金車(キングカー)集団は、缶コーヒー市場シェア6割以上を占める「伯朗珈琲(ミスターブラウン)」を生産販売している老舗メーカーです。ミスターブラウンは台湾缶コーヒー市場で35年連続で首位を維持しており、38カ国・地域にも輸出しています。

/date/2017/09/15/20column_2.jpgオリジナルやブルーマウンテンなど、種類も豊富です(YSN)

 キングカーは缶コーヒーだけでなく、飲料、食品や清掃用品、殺虫剤など幅広く事業を展開しています。株式上場はしていませんが、年間売上高は100億元以上とみられています。

缶コーヒーとの出会い

 キングカー董事長の李添財氏は1938年、金瓜石(現・新北市瑞芳区)で生まれました。父親を早くに亡くし、小学校も卒業していません。台北市の下町、大稲埕地区でかつて屋台街として賑わった建成円環(現・台北円環)で親戚と麺類を販売していましたが店をたたみ、1956年、兄弟とともに清掃用品、殺虫剤メーカーの志成企業を設立しました。同社のアリ用殺虫剤「噴効殺虫剤」、蚊用殺虫剤「滅飛蚊香」や、清掃用洗剤「白博士清潔剤」は現在も販売されている有名ブランドです。

 李氏は殺虫剤や洗剤の市場は限界があると考え、79年、2,000万元を投じキングカーを設立し、飲料事業に参入しました。初の商品となった炭酸飲料「麦根沙士」はあまり売れず、一緒に起業した兄弟たちが経営から手を引き、李氏は一人残されてしまいました。

 李氏は80年、日本を視察に訪れ、UCCが69年に世界で初めて缶コーヒーを発売したことを知りました。当時、台湾には缶コーヒーがなく、十分に商機があると考えました。その後の市場調査で、台湾には喫茶店がほとんどなく、コーヒーを飲む習慣もあまりないことが分かりましたが、82年、ハイリスクを承知で缶コーヒー「ミスターブラウン」を発売しました。

薬用酒のコーヒー割り

 さて、マーケティング戦略には製品(Product)、価格(Price)、プロモーション(Promotion)、流通(Place)から成る4P理論というものがあります。李氏は、製造から消費者に届くまでをカバーした▽製品力▽パッケージ▽ネーミング▽価格▽プロモーション▽流通──から成る独自理論「6つの関門」を生み出し、「ミスターブラウン」を成功に導きました。

 「ミスターブラウン」は当時、中学校の英語の教科書によく出てくる人名でなじみやすく、ブランドを擬人化しやすい上、コーヒーの色とも合致しているネーミングです。

 またキングカーは、雑貨店、パン屋、檳榔(ビンロウ)店であっても「ミスターブラウン」を販売してくれるなら、商品の搬入から陳列まで全て手伝い、隅々まで販路を開拓しました。このローラー作戦のおかげで、ビンロウ店を利用するブルーカラーが薬用酒の「維士比」を割って飲むために「ミスターブラウン」を購入するようになり、奇跡的な販売増加につながりました。

 90年ごろから、質感のあるテレビコマーシャルを九份編、冬山河編、駅編などシリーズ展開したことも、根強い人気を支えました。

新商品を続々開発

 キングカーはその後、茶飲料「波爾茶」、炭酸飲料「奥利多」、乳酸飲料「健酪」などの飲料や、ガム、即席麺などを発売しました。「ミスターブラウン」ほど売れてはいませんが、今も新製品の開発を続けています。

 98年に始めたコーヒーショップ「伯朗咖啡館(ミスターブラウン・カフェ)」は今や50店まで拡大しました。05年に蒸留所を設立し、08年に発売したウイスキー「噶瑪蘭(カバラン)」は、国際的な品評会で金賞を約240回受賞し、今や60を超える国・地域で販売されています。

 

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荘建中

荘建中

シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。