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第123回 群光電能董事長 林茂桂氏


コラム 台湾事情 作成日:2016年10月21日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第123回 群光電能董事長 林茂桂氏

記事番号:T00067028

 群光電能科技(チコニー・パワー・テクノロジー)は台湾で3位、世界でも5位に入るスイッチング電源メーカーです。主な製品は発光ダイオード(LED)照明、サーバー、ゲーム機、セキュリティー関連、ウエアラブル(装着型)カメラ、無人機(ドローン)などの電源です。パソコン用以外の売上高が全体の半分以上を占めています。

どん底からのスタート

 群光電能の前身は、PC周辺機器メーカー、群光電子(チコニー・エレクトロニクス)が1990年に設立した高効電子です。同社は05年、経営難で1株当たり純損失が3.03台湾元となり、親会社のチコニーの利益をほとんど相殺するほどでした。同社を再建するため、チコニーの許崑泰董事長は当時、副董事長だった林茂桂氏を董事長に据えました。

 林氏は「とてもひどい状況で、顧客がほとんどいなくなっていた」と当時を振り返ります。それだけでなく、▽研究者が足りない▽製品設計が悪い▽製品の品質が悪い▽営業は値引きしかできない▽調達の腐敗リスクがある▽管理制度がない▽従業員の士気が低い──など、問題が山積みでした。

ゲーム機用電源で起死回生

 林氏はまず最初に、台湾、海外の顧客を自ら訪問しましたが、全く相手にされませんでした。そこで大胆にも既存の顧客への営業をやめ、新製品による新規顧客開拓へと方向転換しました。

 これが群光電能の起死回生の契機となりました。長い付き合いのあった米国の大手ゲーム機メーカーから、義理で試作品を製造する機会をもらったため、必死で高品質の電源を完成させ、受注につなげたのです。ゲーム用電源はPC用電源より高規格のため、この受注は、同社が高品質の電源を生産できることの証明となりました。

 信頼が回復し、次々と受注が入り、全く相手にされなかった日本のゲーム機メーカーからも受注を獲得。07年、林氏はたった2年で黒字化を達成し、ゲーム機用電源で世界市場シェア首位の座を手に入れたのです。

従業員を重視

 林氏は経営を安定させるため、製品の設計、品質の向上と同時に、規律や制度の確立、従業員の士気向上を推進しました。

 特に従業員を重視しました。その代表的なものが、分紅(利益の分配)制度です。従業員のパフォーマンスに応じて、A+、A、B、C、Dの5段階で評価し、最高評価のA+なら春節ボーナス(年終奨金)を10~20カ月分を支給しています。

 また、ミドルマネジャーに昇進するには、一定以上の評価だけでなく、体力テストの合格も求めています。水泳、ランニング、ゴルフ、腹筋、腕立て伏せのうち2種目で合格しなければ、昇進できません。これは、従業員の健康を守ることが目的です。そこで、本社ビルの地下にはプール、ジムなどの運動施設も設置しました。林氏は、運動すれば頭がすっきりし、会社により多くの利益をもたらすと考えています。

 こんな心温まるエピソードもあります。ある従業員が中国に出張中、工場で突然倒れ、脳出血と初期診断されたことがありました。林氏は即座に200万元かかる医療搬送専用機をチャーターし、台湾で治療できるよう取り計らいました。いかに従業員を重視しているかがよく分かります。

 一方、勤続3年以上の従業員が第2子をもうけたら出産祝い金6万6,000元、3人目には8万8,000元を支給する「出産奨励制度」も実施しています。

不景気はチャンス

 林氏が常々、従業員に言い聞かせている言葉があります。それは「不景気は競争心のない会社を治す」です。不景気になれば、首位以外の企業は淘汰される可能性があります。このため、同社は全ての製品で首位を目指しています。

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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