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台湾土産の定番、パイナップルケーキの有名ブランド「微熱山丘(サニーヒルズ)」は2008年、南投県で誕生しました。初年度に黒字化に成功し、台北市、高雄市、桃園国際空港に進出したほか、東京南青山、シンガポール、上海、香港と海外にも店舗を構えています。現在の販売価格は10個入り420台湾元。他店より3割ほど高いにもかかわらず、15年のパイナップルケーキ販売は2,200万個に上り、売上高は10億台湾元に迫っています。
電子業界からの転身
サニーヒルズ創業者、許銘仁氏はもともと電子業界で26年働いていました。パイナップル農家の家業を継いだ弟や近所の人たちを助けるため、09年4月に南投県八卦山の丘陵にパイナップルケーキ販売のサニーヒルズをオープンしました。
「商売するのでなく、ブランドを創る」というポリシーを念頭に、当初1カ月はパイナップルケーキを1日1,000個作っても、友人知人、その紹介で訪れた人たちにお茶とともに振る舞い、実際の販売は50個ほどでした。この戦略が奏功し、紹介や口コミで、八卦山までわざわざサニーヒルズのパイナップルケーキを買い求める人が増えていったのです。
パイン100%の先駆け
当時のパイナップルケーキといえば、冬瓜(トウガン)を加えた餡が一般的でした。サニーヒルズは、餡の主原料を八卦山産などのパイナップル100%としました。生地の原料にもこだわり、▽日本製の小麦粉▽生産地が特定でき、抗生物質を使わずに育てたニワトリの卵▽ニュージランド産バター「アンカー」▽天然の蔗(ショ)糖──を使用しています。
防腐剤や香料、着色料などの食品添加物は一切使いません。そのため賞味期限は通常より短く、わずか2週間です。パイナップルケーキの包装には、コストは2倍かかりますが、防湿、抗酸化に優れ、見た目も良い雲龍紙を使用しています。
毎年200万個を無料提供
サニーヒルズは、派手な宣伝広告や、旅行会社との提携を行わないばかりでなく、インターネットのキーワード広告さえも利用していません。店舗を訪れた客にパイナップルケーキ丸々1個と、紙コップでなく湯呑みに入れた1杯の茶を無料で振る舞うだけで、購入を勧めたりも一切しません。
さらに許氏は、店舗のスタッフに対し、売り上げノルマを求めることもありません。客を心を込めてもてなし、満足してもらうことしか求めていません。
そのため、サニーヒルズが客に提供するパイナップルケーキは年間200万個に上ります。それでも無料で振る舞うこだわりが、客の心に「微熱」を与えているのです。
新商品ハニーケーキ
サニーヒルズは、価格勝負でなく、信頼を得ることで、客に買いたいと思わせることに成功しました。パイナップルケーキ、パイナップルジュースに続き、今年8月に新商品のハニーケーキ(蜂蜜カステラ)を発売しました。さて、ハニーケーキでもこうした奇跡を起こせるのでしょうか。
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