記事番号:T00055697
今回は、建設事業を中心に金融、物流、レジャー、医療など幅広い事業を展開し従業員5,000人を抱える遠雄企業団(ファーグローリー・グループ)の董事長、趙藤雄氏を紹介します。
台北ドーム建設で渦中の人物
趙董事長は1944年生まれの70歳で、現在、台北文化体育園区(通称・台北ドーム)BOT(建設、運営、譲渡)契約において、柯文哲台北市長から設計の問題点や建設の遅れなどの指摘を受け、契約見直しを迫られるなど世間を騒がせています。
貧しい家庭に育った趙董事長は、中学校卒業後、型枠、左官職人に弟子入りするところからスタートし、69年に建設会社を設立すると不動産への投資を始めました。その際、住宅用地は高くて手を出せませんが、工業用地なら価格が3分の1にすぎないことに気付き、工場建設への参入を決意しました。
70年代は現在の新北市に当たる台北県で違法工場が2万社に上るなど中小企業が乱立した時代で、図らずもその波に乗り他社との差別化に成功しました。
先見の明で業界を生き抜く
趙董事長は「工場・オフィスビルの父」と評され、代表的なものに荒れ地を見事に開発した台北市の内湖科技園区があります。また、長年誰も手を付けていなかった現在の新北市の三峡、林口の土地を購入。容積率の奨励措置を受け住宅1,000戸以上の大型プロジェクトを推進し、台北市中心部では住宅購入に手が届かない中産階層の人気を集めることに成功するなど、先見の明、独自性を備えていたことが業界を生き抜く鍵となりました。
建設の基礎工事のスキルが身に付いている趙董事長の現場視察は、「タイルの張り合わせなどの細部から、建物の骨組みまで手抜きがないか細かくチェックする」と業界内では有名です。
趙董事長はまた、かつてはとても厳しいリーダーとして知られ、幹部会議は15時間に及ぶこともありました。現在は権限を徐々に部下に与え会議時間も短縮されました。事業多角化でグループ規模が拡大すると、尊敬する台塑集団(台湾プラスチックグループ)創業者、王永慶氏に倣い、同社の管理方法を参考に10人一組とした組織制度を推進し、これらを管理する部署を設立しました。また、「データ化」「標準化」を進め、公式を入力すればどれくらいの時間で建設可能か分かるシステムを開発するなど、管理や判断を容易にしました。
遠雄企業団は、土地開発から建設、広告、販売、アフターサービスまでグループ企業が一貫して行うことも強みの一つです。プロジェクトの予算を広告に集中することが可能で、毎週土曜、日曜日には大手4紙の目立つところに大々的に広告を打ち出す戦略をとっています。
最近、趙董事長への風当たりは強いですが、自身の先見の明、細かな視点、それに同社の綿密な管理システムが事業拡大を支えてきました。
荘建中
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