記事番号:T00054783
今回は、電子機器受託生産大手、和碩聯合科技(ペガトロン)董事長の童子賢氏をご紹介します。
童氏は現在54歳、台北工専(現・台北科技大学)を卒業後、宏碁(エイサー)のエンジニアとして働いていましたが、29歳で華碩電脳(ASUS)をエンジニア仲間と創業、41歳でASUSをノートパソコン業界7位まで押し上げ、若くして台湾を代表する経営者となりました。
世界企業、ペガトロン誕生
その後、ASUSは2007年6月に受託生産専門子会社のペガトロンを設立し、自社ブランドと他ブランドの受託生産の両方を兼ねる戦略を取りました。しかし、逆に他ブランドから技術流出への懸念を抱かれ、ペガトロンは設立当初から経営課題に直面します。そこで童氏はASUSから去り、ペガトロンとともに独立する道を選びました。
これによりペガトロンは、ASUSの看板を失い、受託生産業界に目を向ければ鴻海科技集団(フォックスコン)や英業達(インベンテック)といった強力なライバルがひしめく状況に直面しましたが、ペガトロンは童氏のリーダーシップの下、iPhoneの生産を請け負い、13年通年で9,500億台湾元の売上高を誇る企業に飛躍しました。
非効率な組織、人事を一掃
童氏は、設立当時どのようにペガトロンの難局を打開したのでしょうか。彼はまず「人」に着目し、人事、組織をフル活用して対応しました。
設立当時、社内では同一カテゴリーの製品を製造する部門が5〜6カ所乱立、しかも部門を超えた意思疎通がなかったため、人材を効率的に活用できずにいました。童氏は同一製品群を製造する部門を1つにまとめて、縦割り組織による弊害をなくしました。また、子会社16社の整理や10人を超える幹部社員を辞めさせて、陣容を一新しました。
童氏は、職責を果たさない幹部は配置換えをしたり、退職を勧告したり、職務違反が深刻な場合は法的手段をとったり、軽い場合は解雇したりと厳しく接しました。これらは「人が正しければ、事は成就する」という信念に基いています。
OIMで付加価値向上
設立から7年たった今、童氏はペガトロンを単なる受託生産会社ではなく、設計、製品企画も請け負うOIM(Original idea manufacture)と位置付けています。受託生産をただの請け負いではなく、設計能力、材料開発能力、精密金属・プラスチック加工技術、モジュール化技術を背景に、顧客の満足度を上げ付加価値向上に挑戦する姿勢を強く掲げています。
さらに業界企業間の競争、連携が激しい中、童氏はいかに戦略を描けるかが企業生存の道で、そのためには人材がイノベーションを繰り返しながら成長していくことが不可欠だと考えています。
社会貢献へのまなざし
経営者として高い手腕を持つ童氏は、台湾の文学者を映像を通して紹介する記録映画の制作を援助したり、自然保護など社会貢献活動にも積極的に参画しています。「人が織り成す文化の営みや感動を大事にすることが、社会の信頼感、安心感を醸成する」と童氏は考えています。
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