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今回は靴下販売は年間1,000万足、売上高は20億台湾元を誇る、靴下・下着製造で台湾最大手の台湾三花棉製業創業者、施純鎰氏をご紹介します。
施氏の商売人としてのスタートはアイスキャンディーを販売していた8歳にさかのぼります。11歳で路上販売、14歳になったころには問屋として靴下を主力商品に、自転車で各地を回って販売店に卸売りをしていました。なぜ、靴下だったかというと、自転車は重いものが積めないため、軽さを重視したからです。
施氏は最終学歴が小学校ではありますが、当時から商売人の頭角を現し、たとえ買ってくれなくても、店主に無料で靴下を渡すことで、だんだんと仲を深め、受注を獲得するようになっていきました。
33歳になった1969年、工場を共同で購入し、三花棉業を設立。靴下の生産を開始しました。最初の2年間は、ビジネスパートナーの工場管理の経験不足や、設備の古さから生産がうまくいかず、資金が底を突き、株主も相次いで出資を引き揚げました。施氏は問屋に戻ることも考えましたが、負けず嫌いな性格から続けることを決意。銀行の融資で何とか持ちこたえました。
工場管理について無知だった施氏は、丸3年家に帰らず、生産ラインの従業員から管理技師の仕事まで勉強した他、同業からベテランを引き抜き工場を軌道に乗せていきました。
子ども用靴下が大ヒット
そして、当時ニッチ製品だった婦人、子ども向け製品に参入し、5年で損益均衡を果たしました。70年代、白い靴下が子どもの間で流行すると同社がシェア8割を占めました。74年には自社ブランド「サンフラワー(SF)」を立ち上げました。
三花棉業の成功で同業も続々と同市場に参入したことを受け、施氏は日本メーカーと技術提携し、ハイエンド市場に注力しました。83年から台湾初の男性用抗菌・防臭靴下の生産を開始。翌年には靴下メーカーとしては初めてテレビCMを制作し、名実ともに業界トップの座を不動のものにしました。
施氏は次の一手として、99年に男性用5枚はぎトランクスを発売。当時台湾市場はブリーフ一色でしたが、同社のトランクスは立体裁断することで、涼しく快適なことから人気を博しました。
ストッキング1カ月着用も
施氏はその後も研究開発(R&D)を重ね、他社との差別化を図りました。1日3回靴下を履き替え、消費者目線に立ち、改善が必要であれば逐一工場に連絡しました。女性用のストッキングを1カ月間試したこともある他、日本出張時には女性の足元を観察し、トレンドを研究しているそうです。
こうした施氏の自社製品への理解と流行把握の努力、絶え間ない市場開拓が同社をここまでの成長に結び付けたと言えるでしょう。
荘建中
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