記事番号:T00030408
今でこそ潤泰集団(RUENTEX)を率いる総裁という立場の尹衍樑氏ですが、若いときは朝から晩までケンカに明け暮れる不良少年でした。中学時代の2年半を少年院で過ごし、3年生のときにはアルファベットすらろくに書けないほどだったといいます。しかしその後、父親や少年院教官の指導により心を改め一念発起、政治大学経営管理研究科の博士号を取得するまでに至りました。
大学卒業の年、父親に連れられ高級クラブやダンスホールに行き、それまで知らなかった大人の世界を垣間見ました。そのとき父から「ギャンブルに手を出してはならない」、「お金目当てで近付く女性にだまされてはならない」という2つの教えを受けました。父は、億万長者の全財産をも一晩で奪い取ってしまう可能性のあるギャンブルの恐ろしさと、高級クラブで働く女性が本当に好きなのはお金であって人格ではないということを諭したそうです。こうした父親の助言もあり、ひたむきに仕事に打ち込んだ尹氏は、単なる紡織工場にすぎなかった潤泰集団を、台湾と中国で紡織業、建設業、金融業、貿易業、保険業、鉄鋼業などを展開する大企業グループに成長させました。傘下には不動産開発の潤泰創新国際や量販店の大潤発(RTマート)などがあり、今年初めには米保険大手AIGグループの南山人寿保険を買収しました。
「管理」ではなく「リード」
尹氏の経営理念は「管理」ではなく「リーダーシップ」です。また事業の成功は優秀な人材をどれだけ獲得するかが鍵だといいます。これほど多くの事業を展開する企業が成長を続けるには、細部を「管理」するのではなく、幹部たちを信頼し全面的に権限を与え、トップは企業の未来を見据え「リード」することが大切だというのが尹氏の信念です。
尹氏の1日は朝、社内を一周することから始まります。その後は会議、資料に目を通し、午後は完全に自由な時間としています。とは言えゴルフもカラオケもしない尹氏の最大の趣味は水泳で、1日に少なくとも2時間は泳ぐそうです。それから車とヨットの運転で気分転換を図ります。尹氏は「車やヨットの運転中、徐々にスピードを上げていくと、頭の中が空っぽになり、まるで車や船と一体になったような感覚に陥る。そうすると右脳と左脳が急に回転し始め、普段思いつかないようなアイデアがわいてくる」と言います。潤泰集団の将来の青写真はこういうときに生み出されるのかもしれません。
失敗は成功のもと
尹総裁は失敗から多くを学んだといいます。失敗で得た教訓を生かし、同じ過ちを繰り返さなければいいのです。この考えは社員たちに対しても同様で、社員が失敗を犯すことよりもむしろ、失敗を恐れて行動に移さないことを危惧(きぐ)しています。
尹総裁が求めるのはポテンシャルの高い人材、さらに学習意欲が高く、勤務態度が良好、問題解決能力のある人です。反対に不要な人材とはどんな人でしょう?尹総裁の挙げる「不要人材9タイプ」を紹介します。
1)外見の良すぎる人
天は二物を与えず、美しい上に頭の回転も良いというケースは少ない上、自己中心的で協調性にかけることが多い
2)宗教を盲信する人
企業は慈善事業ではなく営利団体という認識が薄い
3)ヤクザとの付き合いがある人
悪い習慣に染まりやすく、周囲に悪影響を与える
4)社会的地位の高い家庭で育った人
苦労や我慢をしたことがない
5)裕福な家庭で育った人
家庭環境が裕福な人は一般的に多くの選択肢があることから、困難に遭遇するとすぐに次の目標に移り、その困難を克服しようしない
6)芸術家肌の人
社会のルールに適応できない
7)メンタルの問題を抱える人
チームワークに悪影響を及ぼす
8)転職が多い人
明確な目標を持たず安定性に欠ける
9)高学歴を鼻にかける人
人に頭を下げること、他人との協力を嫌う
このほか、尹総裁は妻以外の親族を採用しません。かつて採用したときにかなり気まずい思いをしたそうです。企業を順調に発展させていくために、自分と関係のある人材を採用することをやめました。
ここ10年の台湾で、鴻海科技集団(フォックスコン)の郭台銘董事長はその富と名声で一躍有名人となりました。尹総裁も上場企業の資産1,000億台湾元以上、株式、不動産、飛行機やヨットなどを合わせると2,000億元の資産保有者です。今後10年の新富豪者として注目を浴びるのは 尹衍樑氏かもしれません。
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