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3月9日、米経済誌フォーブスが2011年版「The World's Billionaires(世界長者番付)」を発表し(3月10日付Y’sニュース参照)、宏泰集団の董事長、林堉璘氏が資産30億米ドルで台湾の億万長者6位にランクインしました。
林氏は知名度はあまり高くないかもしれませんが、台北市仁愛路の超高級マンション「帝宝豪邸」を手掛けた実業家です。「帝宝豪邸」と言えば、1坪180万台湾元以上、最も安い物件でも最低2億元以上します。また、2010年にWorld Executive Group、世界不動産研究所、雑誌『プレジデント』、『豪門』などが共同で選考した2010年「アジア十大豪邸」で、世界9位に入ったことからも分かるように、台湾で高級住宅の代名詞のような存在です。
他に先駆けて価値を見出す
早くから台湾の工業化や都市化の進展を予感していた林氏は、資金繰りに苦労しながらも、他人にとっては価値のないただの荒れ地を磨けば光る原石と考えて購入していきました。
その後間もなくして台北市近郊に工業団地の造成計画が持ち上がり、購入した土地が予定地に選定されたことで、地価は跳ね上がりました。狙い通りの展開となりました。一部を売却した資金で、商業地や住宅地への大規模整備を進め、不動産市場での初めての勝利を華々しく飾りました。
人よりも早く価値を見出す
一般に不動産開発業者は土地を購入し、整備して、それを売却する形で利益を上げます。林氏の場合、価値の見出されていない土地をできる限り安く購入し、その土地を「養う」、すなわち長期間保有するという特徴があります。
不動産市場の動向を見極め、一歩先を読み取る高い目利き力を武器に、1984年からの5年間で信義計画区の用地約1万1,000坪、他の一等地3万坪以上を相次いで購入、物件開発を行い、「売却はせず、賃貸のみ」という方針で、現在では賃貸収入だけで年間30億元以上を得ています。「コスト100元のうち借りるのは20元だけ」というポリシーを掲げ、安定した経営を続けてきました。
従業員は家族も同じ
宏泰建設には勤続年数20〜30年の従業員が多く、入れ替わりもほとんどありません。ある退職した従業員は、「董事長の優しさこそが従業員にとっての心の栄養です」と語っており、この一言が林氏の従業員に対する深い愛情を如実に表しているように思われます。経営者と従業員という枠にとらわれず、従業員一人一人に自らの子供のように接しています。このような人柄も従業員を引きつける魅力の一つなのでしょう。
さらに手厚い福利厚生も同社の魅力の一つです。同社では課長クラス以上の幹部は、無利息の住宅ローンを利用できます。さらに、毎月の返済額の半分を会社が負担する、ボーナスとは別に業績の良い従業員に対しては特別報酬を渡すなど、さまざまな制度を設けています。特別報酬は、幹部の場合は林氏自ら渡し、それ以外の従業員にはこっそり渡すようにしています。幹部、従業員の努力を認めつつ、それぞれに気を配る。これこそ従業員のやる気を引き出す「こつ」なのかもしれません。
従業員の家族に不幸があった場合は、会社としてはもちろん、林氏個人としても香典を包んでいます。それも直接渡すのではなく、雑誌の間に挟んでそっと渡すところが彼らしいやり方です。
宏泰集団の成功は、林氏の人柄と先を見通す力があってこそ。これからも宏泰集団の成長に目が離せません。
荘建中
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