記事番号:T00037571
今回は米経済誌フォーブス「2012年台湾の長者番付」にも資産総額28億米ドルで9位にランクインした、聯邦集団創設者の林栄三氏をご紹介します。
聯邦集団は、傘下に聯邦建設、自由時報、聯邦銀行などを抱え、創設者の林氏は莫大な資産を築き上げました。彼が成功した理由の一つに、独自の「土地活用」哲学があります。土地を購入しては住宅を建築、その住宅を売って得たお金でまた土地を購入する手法で所有地を40万坪まで増やしていきました。
旧台北県(現新北市)や台北市のほか、桃園県の南カン(カンは山の下に坎)」一帯で、低価格で将来性が見込める山沿い、川沿い、排水溝がある農地、保護地区などの面積が広い土地をあえて購入し、そのまま20年から30年放置。経済が発展して都市化が進んでから住宅や商業用地として販売し、数百倍の利益を得ることができました。30年後に数百倍の利益が得られると考えた人はたくさんいても、実際に成し遂げられた人は多くないでしょう。こうした林氏の土地活用哲学は、徳川家康の「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」の忍耐の精神にも通じるものです。
人並み外れた交渉術
林氏は土地売買時の交渉にも長けていました。土地を購入するときは、直接現金で支払うことを切り札に交渉を進めます。また、土地を売却するときは価格をすぐに提示します。計算機を持ち出して買い手にその土地にどのくらいの広さの家を建てることができて、建てた後はいくらで売ることができるのか、原価や建設費用などを差し引くといくらの利益になるかを示します。建設会社の利益まではっきりと示すため、買い手は買うか買わないかを決めるだけになります。林氏が提示する価格は決して安くはないのに、買わないと損をするような思いをさせるのが彼のすごいところです。
自由時報のオーナーに
1980年には当時の「自強日報」(後の自由時報)を買収し,新聞社の経営にも乗り出しました。長年の土地売買で得た経営理念を、自由時報の資金運用や販売方法などにも生かしていきます。
経営開始当初は赤字が続いていましたが、それでも10億台湾元を投じて新設備を購入。92年には賞金総額1億6,000万元、15人中1人が当選する可能性がある販促キャンペーン「黃金五千両」を実施。93年には1億元以上の費用をかけてテレビCMを打ち出し、95年には自由時報を無料で配布して読者数を増やしていきました。また、無料配布する地域も、自由時報の洗練されていないイメージを払拭(ふっしょく)するために、都市部を中心に、台湾北部から中部、南部へと範囲を広げていきました。95年当時は紙の価格が上昇して他の新聞社が値上げを行う中、林氏はその豊富な資金力で値段を据え置くことで発行部数を増やしました。
さらに林氏は、自由時報で台湾独立派としての政治的立場をはっきりと示しました。李登輝政権の民主改革運動を支持し、紙面も方向性も中国寄りの中国時報や聯合報との違いを鮮明にして、台湾独立派の支持を得ました。文章の美しさよりも、政治的立場やイデオロギーを重視していた彼の方針についてある記者は、「自由時報は何を書けばいいのか分かりやすい。文章が優れていなくても、誤表記があってもイデオロギーが合っていれば大丈夫」と話していました。
林氏は自由時報の紙面の中でも特に社説欄を重視しました。新聞社の経営に全力を注いでいた当時、幹部たちとともに夕食を食べながら紙面について討論。彼と夕食をした幹部たちは「ご飯団」とも呼ばれ、記者たちは社説の一字一句を彼に読んで聞かせて何度も修正を重ねていました。
不動産業界から新聞社の経営に乗り出した林氏は、その優れた投資センスと豊富な資金力で新業界でも成功を収めました。自由時報は、今では台湾独立派を代表する有力新聞として広く知られています。
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