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第90回 日出集団創業者 頼淑芬氏


コラム 経営 作成日:2013年5月10日

台湾流経営策略

第90回 日出集団創業者 頼淑芬氏

記事番号:T00043578

 台湾で初めてパイナップル餡のみを使用したパイナップルケーキ「土鳳梨酥」を発売したことで有名な日出集団(DAWNCAKE)は2002年、台中市に誕生しました。創業者の頼淑芬氏はもともと同市で喫茶や軽食を兼ねた飲食店を経営しており、デザートの緑茶ヤマイモチーズケーキが独特な味わいで人気があり、このケーキのためだけにわざわざ足を運んでくれる顧客がいたほどでした。そこで、頼氏はおいしくて健康的なチーズケーキの研究に力を注ぎ、日出集団の設立に至りました。現在焼き菓子などの販売店は4店舗で、全て台中市にあります。

「宮原眼科」の誕生

 中でも今一番注目を集めているのは「宮原眼科」です。宮原眼科は台湾鉄路(台鉄)台中駅近くの緑川商圏という旧市街地のスポットに12年1月にオープンしました。同店ではパールミルクティー(タピオカ入りミルクティー)やアイスクリーム、パイナップルケーキを販売しています。宮原眼科とは珍しい店名ですが、日本統治時代の眼科「宮原眼科」の建物をリフォームして使ったことからこの名前を付けました。


宮原眼科。日本式と現代的な建築がうまく融合している

 当時の宮原眼科は日本の眼科医、宮原武熊氏によって1927年に建てられ、日本統治時代の台中で最大の眼科でした。しかし、45年の日本の敗戦とともに宮原医師も日本へ帰国。宮原眼科の建物は台中衛生院として利用されるようになりました。その後、99年の台湾中部大地震や08年の台風7号(アジア名、カルメギ)などで屋根と内部の破損が激しくなり、台中市政府は取り壊すことにしました。そこで、日出集団の頼氏と尤杰董事長が購入を決めました。旧宮原眼科の敷地には13階建て延べ床面積7,800平方メートルの建物の建設が可能なため、一度取り壊してから新しく立て直すことが最良の選択でした。

 しかし、頼氏は現存部分を生かし、新旧を融合させた建物にすることにしました。例えば1階部分のアーチ型の門や2階の13個の窓などを残し、店内には廃材を利用して作った棚や屋根瓦で作った広告入れなどで趣を演出しています。一歩店内に足を踏み入れると、そこはまるで映画「ハリーポッター」で主人公たちが通う学校のようです。天井は高く、商品棚は図書館の本棚のように分類表示がされ、商品は書籍のようなパッケージが施されています。


吹き抜けの天井

 店員の制服も工夫が凝らされています。アイスクリームの販売員は日本統治時代の眼科の看護士を思わせる制服を、その他の店員はミリタリールックです。

ボトムアップ経営で成功

 商品パッケージや制服も社内のアイデアを生かしており、同社は可能な限り提案した従業員にプロジェクトを任せる「ボトムアップ経営」を行っています。

 また、頼氏は社員同士が対等な関係にあってこそ創意工夫が発揮できると考え、プロジェクトの遂行に当たっては、たとえ上司であっても責任者に従うことにしています。失敗を恐れず取り組んでほしいと従業員に奨励した結果、今の宮原眼科が誕生しました。

 宮原眼科の営業時間は午前10時~午後10時で、平日でも20分、休日ともなれば1時間も並ぶ人気店です。日本からも観光客が訪れるほど有名になった宮原眼科。次回台中に出張の際は足を運んでみてはいかがですか?

 
宮原眼科店内はまるで図書館だ

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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