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第92回 美廉社総経理 邱光隆氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2013年7月5日

台湾流経営策略

第92回 美廉社総経理 邱光隆氏

記事番号:T00044576

 今回はスーパーマーケット、美廉社(シンプルマート)の邱光隆総経理を紹介します。美廉社は三商行(マーキュリーズ&アソシエイツ)の傘下で、2006年に創業しました。直営と加盟店で店舗展開し、現在は300店余りの店舗を運営しています。年内に380店、3年以内に1,000店達成を目指しています。店舗はシンプルマートの名前のとおり小規模で、あらゆる街にセブン-イレブンなどのコンビニエンスストア大手が進出した中でも、着実にシェアを伸ばしています。


美廉社の成長の背景には、必要な量だけの生活必需品を求める単身世帯の増加がある(YSN撮影)

コンビニと量販店の特長を兼備

 邱氏は量販店やコンビニ、大手スーパーマーケットの間隙(かんげき)を縫うように、小規模、格安価格という特長を備えた店舗を展開し、ビジネスチャンスをつかんできました。コンビニや量販店が普及する以前は、どの町にも雑貨屋があり、同社は競争力のある雑貨屋としての位置付けを狙ったのです。マンションのオーナーに「お宅の1階に店を出させてください。そうすれば買い物は数分で済みますし、品物を量販店並みの安さで提供します」と持ち掛ける言葉に、「地域に密着した小型量販スーパー」を目指す邱氏の基本コンセプトがうかがえます。

 邱氏は当初、大通りや商店街から離れた場所に40坪程度の店舗を開設しました。これは商店街の大手コンビニ店との競争を避けるのが狙いであるのと同時に、100坪余りの大型店向けの物件探しが困難であるためでした。

 こうした物件は比較的見つけやすかったことから、スピーディーな店舗展開が可能となりました。また、在庫品を商品棚の一番上に置き、商品が売れたら店員が直ちに補充できるようにしました。つまり倉庫がなくても在庫管理ができるわけです。

地域住民のニーズに即応

 邱氏は毎週月曜日に店長会議を開き、消費者の意見や要望に応じて商品の調整を行います。同社は売れ行きが悪い商品はすぐに別の商品と入れ替え、また、消費者から要望があれば直ちに対応することをモットーとしています。以前は傷みやすい野菜や果物を販売していませんでしたが、消費者の要望を受けて一部の店舗で唐辛子やにんにく、リンゴなどを少量置いたところ、1日で完売しました。 

 また、高齢者の多い地域では生活用品の比率を40%に高め、若者が多ければ飲食品を85%にするなど、その地域の住民のニーズを的確に把握し、それを満たす品ぞろえに気を配っています。こうした努力により、小規模店でも大型店に負けない成果を挙げています。

 売り場面積が広いコンビニ大手や量販店では、取り扱い商品の多様化が可能です。しかし邱氏はこうしたライバルとの競合を避け、商品の項目や種類を限定しています。現在、美廉社では800種類、およそ2,300品目を取り扱っていますが、将来はこれを600種類、1,200品目に絞りたいと考えています。

 さらに自社ブランド商品の開発にも取り組んでいます。例えばしょうゆ、ごみ回収袋、洗剤などは通常ブランド志向がほとんどなく、しかも日常生活に必要な物です。美廉社ではこうした商品のブランド化を進めて独自性を打ち出しています。

 美廉社はサービス向上のため11年に中華郵政と業務提携し、台北、三重(新北市)、桃園、台中などに合わせて16カ所の事務所を置き、年中無休で郵便サービス業務を行っています。絶えず業務の調整に努め、同業他社とは異なる観点から存在感を高めているのは美廉社ならではです。邱氏は常に、同社を発展させるさまざまなプランを温めています。 

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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