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第96回 渓頭明山森林会館総経理 林志頴氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2013年11月8日

台湾流経営策略

第96回 渓頭明山森林会館総経理 林志頴氏

記事番号:T00046881

 妖怪が出たぞ!どこどこ?見た~い!

 週末の午後になると、南投県の竹山鎮から鹿谷郷、渓頭にかけて「渓頭妖怪村」に向かう車で渋滞になります。妖怪村は入り口に鳥居、ちょうちんが灯る古めかしい日本的な建物が立ち並ぶテーマパーク。レストランや会議室を擁するホテル「渓頭明山森林会館」やショピングゾーン「松林村」などがあり、近くにある森林公園「渓頭森林遊楽区」でハイキングも楽しめます。


駐車場には観光バスも並んでいます(YSN撮影)

ぼろホテルを再生

 妖怪村を営む渓頭明山森林会館は、南投県で指折りの、家族経営の老舗ホテルでした。3代目総経理に林志頴氏が就任したのは1999年9月21日の台湾中部大地震の後。当初6年間は同地の観光産業にとって最も悲惨な時期で、一時は5人まで減った従業員とともにホテルを守り続けました。その後、景気は上向きましたが、築30~40年のぼろホテルには客足が戻りませんでした。

 林志頴氏は、海外の古城や歴史的建造物を利用したホテルを思い起こし、あるアイデアにたどり着きました。祖父の林胆氏が山林の中で出くわした奇妙な体験を基に、妖怪村ストーリーを中心に据えたテーマパークを作ることです。

物語性のあるテーマパークに

 1909年のある日、林胆少年は竹林の渓谷で偶然、ウンピョウの子どもを見つけました。痩せ細った姿をふびんに思い、家に連れて帰り「八豆」(テーマパークの妖怪「八豆妖」の起源)と名付けて世話をすることにしました。

 ある晩、家に腹を空かせた黒い熊が出没し、食べるものはないかとあさっていました。林胆少年は恐れることなく、黒熊に魚の缶詰を10個以上与えました。翌日になると、この黒熊が家の玄関前でぐうぐう寝ていました。林胆少年は追い払うこともせず、毎日食べ物を買って黒熊に与え、「枯麻(くま)」と名付けてかわいがりました。

 何年もたつと、この2頭の食べる量が成長とともに増えてしまい、林胆少年は世話をし切れなくなりました。泣く泣く2頭を野に放し、犬2匹との生活に戻りました。

 ある晩、謎の妖怪が家に現れ、林胆少年を襲いました。老犬2匹が必死で抵抗したものの、妖怪にあっという間にのみ込まれてしまいました。「あー!」林胆少年の悲痛な叫び声が森林に響き渡り、ウンピョウ八豆の耳まで届きました。

 八豆はすぐさま林胆少年の家に駆け付け、妖怪に立ち向かいました。ところが妖怪に倒されてしまい、絶対絶命のピンチに。

 そこに背後から黒熊の枯麻が現れ、妖怪と激しくもみ合いました。戦ううちに、枯麻の胸にできたV字の深い切り傷がまるで十字架のように光り出し、妖怪は驚いて退散しました。おかげで村に平和が戻りました。

京都の再現が夢

 このストーリーを基に、老犬2匹と八豆を祀る祠(ほこら)や、八豆と林胆少年(日本名・松林勝一)の像が建てられ、日本的な建物の土産物店や小吃(屋台料理)店が立ち並ぶ「松林村」が誕生しました。かわいらしい妖怪のキャラクターや和服姿の店員が雰囲気を盛り上げます。週末には大道芸人が登場したり、天狗の太鼓ショーが催されます。


松林村の土産物屋ではキャラクターグッズも販売しています(YSN撮影)

 林志頴氏が伝統に忠実、かつ改革に積極的に取り組んだ結果、ぼろホテルは息を吹き返し、従業員は160人まで増えました。将来はコテージが並ぶ「童話の世界」ゾーンを取り壊し、京都を完全に再現して、妖怪たちを住まわせるのが夢です。

【渓頭妖怪村】
http://www.mingshan.com.tw/

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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