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今回ご紹介するのは台北で若者に大人気のナイトクラブ「ROOM18」を経営する庹宗康(トゥオ・ゾンカン)氏です。テレビ番組の司会を務め、ドラマや映画にも出演し、歌も歌う芸能人です。
明るさと清潔感のある店内で若い男女たちが特製カクテルを飲みながら、DJの音楽にダンスを楽しむ
(同社ホームページより)
トゥオ氏は16、17歳のころからクラブに通い始め、24、25歳のときには自分の店を開こうと決心しました。経営手法を学ぶため、芸能界の仕事を中断し、クラブで2年間働きました。「最初から長く店をやっていきたいと思っていました。だからモノの仕入れ、店の雰囲気の出し方、照明、内装、音楽、ドリンクなど全てゼロから学びました」と語ります。
トゥオ氏の努力は実り、ROOM18は今では経営の安定した店になりました。海外からの若い旅行者にとって同店は「台北で必ず行くべきクラブ」であり、今若者の間で最も流行している夜のライフスタイルやカルチャーが何かが分かる店なのです。トゥオ氏はそのため「クラブの王子」と呼ばれています。
そもそも、商売をする芸能人に対して普通の人は「お金はあるが経営はできない」、「店を見る時間がなくなり最終的には失敗する」などの推測を働かせますが、トゥオ氏はどうやって商売を成功させたのでしょうか。そのワケを4つの「P」から探ってみましょう。
1.商品(Product)
トゥオ氏はクラブが流行と結び付いたビジネスであることを熟知しています。店から新鮮味がなくなれば、売上高は落ち込んでしまいます。そこで毎年1回は必ず店の改装を行います。費用は数百万元から1,000万元です。
外観だけではありません。店が提供する商品も小まめに変化させる必要があります。例えば夏になるとドリンクの味をあっさりしたものに変えます。また、女性客は健康や美容に興味があるので、ビタミンC入りの新鮮な果物ジュースとミックスさせたカクテルドリンクを発明しました。
また、頻繁に海外へ足を運び、新しいモノやサービスを現地で見つけると必ず自分の店に取り入れます。英国人と共同でカクテルドリンクを開発したり、バーテンダーの英国チャンピオンを台湾に招いて技術指導を仰いだこともあります。
全ては客に出す1杯の「心のこもった」特製ドリンクのためで、これで客の心をつかむのです。
さらに、ダンスが好きな客と騒がしい雰囲気が苦手な客は店内で2つのエリアに分けます。こうすることで、思いっきりはしゃぎたい客も、ただお酒を飲んでゆっくりしたい客も、皆満足できるわけです。また、ただ楽しさを提供するだけでなく、安心安全も重視して店の消防設備などにも気を遣っています。
2.価格(Price)
入店料は毎週水曜日は男性500台湾元(2杯のお酒と引き換え)、女性は無料。金曜日、土曜日は男女ともに700元で、営業時間は午後10時30分~午前4時30分。オーダー方式は単品料理・ドリンク1点からと価格も高過ぎず、若い男女が長蛇の列をつくって店の前で開店を待っている光景をよく目にします。
3.立地条件(Place)
もともと台北市信義区の華納威秀影城(ワーナービレッジシネマ、当時)の地下に店を構えていましたが、テナント代が引き上げられたことから、隣の複合商業施設「Neo19」の地下に移りました。どちらも信義商圏に位置し、立地条件は最高と言えるでしょう。
4.集客(Promotion)
ROOM18で最も人気があるが、毎週水曜日の「Lady’s Night」です。トゥオ氏によると、女性の入場料を無料にする手法は海外では既に何年も前から行われており、入店料収入は落ちますが相対的に客足は伸び、最終的に売上増につながるそうです。
また、芸能人は入店料を一律無料にしていて、台湾・香港のアイドルにとって最高の夜の「たまり場」になっています。ROOM18は多くの大物アイドルが通うことで知名度が上がりました。
自ら率先してスタッフを教育
芸能人が店を開くと、本人は現場に姿を出さないのが普通ですが、トゥオ氏は毎週スタッフとのミーティングのため店に来ます。どのような問題が起きてもすぐに状況を把握できるようにし、スタッフに解決方法を考えてもらいます。スタッフの教育では規律を重んじ、もしグラスがちゃんと洗われていなければ、見つけたその場で床に投げ付けます。スタッフが何か言い訳してその場をごまかそうとしたら「じゃあ今月は給料要らないんですね?」と質問したりと怖い一面もちゃんと出します。
逆に、太っ腹で気前の良い一面も見せます。毎年お店を改装する際にはスタッフを連れて海外旅行へ行きます。また、給与や福利厚生も同業以上に設定してあります。スタッフを海外の研修へ参加させたりすることもあります。
トゥオ氏は店に入ると必ず店のあらゆる場所をチェックします。トイレ、厨房、カウンター、倉庫の至るところまで。「消費者になったつもりでチェックします。もし自分が何か不愉快に感じることがあれば、客もきっと同じように思う」と言います。
自分で身をもって行動し、床にゴミが落ちていたら腰を曲げて拾い、客のグラスの水がなくなったら自ら水を注ぎに行きます。「スタッフに自分のサービス姿勢を見せることで教育します。私でもこれらの細かい部分に目が行き届くのであれば、スタッフはもっとアンテナを張っておくべきでしょう」とトゥオ氏は語ります。
もし時間とチャンスがあれば、ぜひ一度この台北で最も有名なクラブに行ってみてはいかがでしょうか!!
荘建中
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