記事番号:T00050218
健豪印刷は尾牙(忘年会)に8,000万台湾元をかけ、高級外車を12台もプレゼントしたり、春節ボーナス(年終奨金)の支給月数が最高16カ月で、1,000万元のコスト削減に成功した購買部門の幹部にはさらに300万元のボーナスを渡すなど、その大盤振る舞いばかりが注目されますが、統一星巴克(プレジデント・スターバックスコーヒー)のカップの他、台湾で印刷される自動車や不動産ダイレクトメールの80%、チラシの47%、名刺の43%を請け負っている強力な企業です。今回は従業員490人を率い、年商29億元の企業に育て上げた同社創業者兼総経理の張訓嘉氏をご紹介します。
張氏は1997年、親戚や後輩などから1,000万元を集め、台中市で健豪印刷を立ち上げました。当初は目立たない白いトタン小屋でしたが、現在は北部、中部、南部に5拠点を構え、1日1万件の受注をさばくため、配送部門を設立するほどに成長しました。
創業当初、台湾印刷業界は価格競争の激化で粗利益率が下がっていましたが、張氏は印刷業をサービス業だと捉え直し、業態転換を図ったことで現在の成功を収めました。
IT化で24時間以内の納品を実現
張氏はこれまで他社が行ってこなかった「24時間以内の納品」を実現するため、IT研究開発(R&D)部門設立に数千万元を投じ、電子商取引システムを整備しました。これにより午後10時にインターネット経由で入稿すると翌日には製品が手元に届くシステムが完成。少量多種の生産が可能となり、これまで受注できなかった小規模案件の獲得に成功しました。
ただ、インターネットサービス開始当初は通信速度が遅く、写真が多い容量の大きなファイルの転送に時間がかかるのが悩みの種でした。そこで張氏は顧客の転送時間を短縮しようと大学と協力してファイル圧縮技術を開発。1ギガバイト(GB)のファイルも20メガバイト(MB)まで圧縮できるようにしました。こうした顧客満足度の向上を追求する姿勢が、今日の他社との差別化につながっています。
ちなみに現在では、自社で開発したクラウドアプリケーションにより、パソコンに特別なソフトウエアが入っていなくても印刷品をデザイン、発注できるようになっています。
自社開発で省力化を極める
また張氏は「印刷工程で人は少ないほど良い。人間は自動化プロセスで発生する問題の解決に時間を使うべきだ」との考えから生産工程の省力化も進めています。
各工程のオペレーターの作業経験をデータで蓄積し、作業の自動化やスループット短縮実現に向けた拡張を行うため、システムは外部に委託せず、自社開発する徹底ぶりです。
好待遇だけど…
なお同社は、公立大学卒で3万5,000元、修士修了で4万5,000元、毎年5〜10%の定期昇給と業界平均より待遇面ではかなり良いのですが、労働時間は1日10時間以上に及ぶハードワークで知られ、従業員はいつも気が抜けません。
張氏は「結局、何をやっても成功と失敗の2つしかない。失敗は成功と違う経験ができるから良いが、何もしなければ失敗もできない」と語っており、何でも実際に行動することが同社の成功の鍵だと言えそうです。
荘建中
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