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第114回 南僑集団会長 陳飛龍氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2015年6月5日

台湾流経営策略

第114回 南僑集団会長 陳飛龍氏

記事番号:T00057374

 食品大手グループの南僑集団は、陳飛龍会長の父、陳其志氏が1952年に創立した南僑化学工業が原点です。63年、陳会長が26歳の時に、海外の技術を取り入れた洗顔にも衣服の洗濯にも使える「水晶肥皂」という固形せっけんの販売に取り組みました。この商品はその後52年間売れ続けるロングセラー商品となり、市場の7割を占めるに至りました。陳氏はせっけんの販売が成功した後、次々と事業を拡大させ、今では食用油、レストラン、氷菓など13の事業体を持つに至っています。14年の連結売上高は14億台湾元、純利益は9億4,300万元、1株当たり純利益(EPS)は3.8元です。有名な氷菓「杜老爺(Duroyal)」や、60~70年代の台湾人にとっては懐かしいクッキー「欧斯麦(O’smile)」も南僑の商品です。

ブランド発展を決意

 南僑は78年の米化粧品メーカーPOND’S(ポンズ)を皮切りに、84年に米P&Gと合弁で宝僑を設立、93年にはハーゲンダッツと合弁で喜見達を設立と、相次いで海外大手と提携し、ポンズのコールドクリームや、P&G傘下のウィスパーの生理用ナプキンなどの商品を次々と台湾市場に送り出しました。しかしその後、これらの商品の最終的な経営権は提携先に回収され、陳氏は代理販売に頼った経営からの脱却を決意します。南僑ブランドを発展させるために、新しいヒット商品の研究開発(R&D)が必要だと考えました。

 陳氏は96年に中国の製パン用油脂市場に参入しました。「われわれは顧客のコンシェルジュでありバトラー(執事)である」との方針の下、南僑は製パン業者の立場に立って考え、油脂を売るだけでなく彼らのビジネスも支援したのです。講習会を開いて、集金方法、原価計算、店舗の設計などもアドバイスしました。これにより南僑と製パン業者との結び付きはより強固になっていったのです。

 翌97年には上海で、日中戦争(37年)などで活躍した国民党の白崇禧将軍の旧居に、ドイツ製ビールを提供する高級レストラン「パラウナー・ブラハウス・上海」をオープンさせました。中国古典建築と西洋料理を融合させた同店は、上海ビジネス界で人気を呼んでいます。

分析とコンセプトが鍵

 陳氏は確実な状況分析とコンセプトの明確化がレストラン事業成功の鍵だと述べています。最も重視するのが「客層の絞り込み」。客層により食事の目的や求めるものが異なるため、まず初めに絞り込む必要があります。次に「立地とサービス内容の明確化」。パラウナー・ブラハウス・上海の店舗を例に挙げると、庭園と中国故事を融合させ、かつモダンな雰囲気を追求することでした。また、同店は台北市北投区の関渡に支店がありますが、こちらは学校、住宅地の近くに位置しているため、住民の憩いの場というテーマを打ち出しています。レストラン経営はサービスの質を追求し、お客様がいかに満足するかで決まると考えています。

 陳氏は「変化を求める、変化に対応する、変化しない」をモットーにしています。市場の需要を見極め、すぐに需要に応えることと、本来持っているものをしっかり把握し、新しいものを拒絶せず、改善していくことがビジネスを長く続ける上で重要との考え方です。

 

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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