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第120回 愛之味食品生技集団総裁 陳哲芳氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2016年1月8日

台湾流経営策略

第120回 愛之味食品生技集団総裁 陳哲芳氏

記事番号:T00061352

 愛之味食品生技集団は飲料、漬物、缶詰などを手掛ける食品加工グループで、1971年に創立、シャンプーの「566洗髪精」などで有名な家庭用品最大手、耐斯企業集団(ナイスグループ)の傘下にあります。陳哲芳総裁は愛之味食品生技集団とナイスグループの総裁を兼任しています。ナイスグループ傘下企業としては他に、耐斯王子飯店(ナイスプリンスホテル、嘉義市)、テーマパークの剣湖山世界主題楽園(雲林県)などがあります。

最新技術で昔の味を守る

 同社の商品は漬物や麦茶といった昔からある食品がほとんどです。陳氏は「新しい発想と技術があってこそ、昔からの味を守ることができる」との考えで、マーケティング力を強化するとともに、研究開発(R&D)に裏打ちされた商品作りを目指しています。

 この方針は、愛之味が02年8月に投入したトマトジュース「鮮採蕃茄汁」にも反映されています。同社は、抗がん作用があるとされるリコピンを多く含むトマトにいち早く目を付け、トマトジュースの商品開発に乗り出します。それまでトマトジュースは缶入りが主流でしたが、「鮮採蕃茄汁」にはペットボトルを導入すべく、充塡(じゅうてん)技術を向上させました。さらに、甘味を加えて飲みやすくするなどの研究を重ねて、「鮮採蕃茄汁」を初のリコピン入りのトマトジュースとして大々的に売り出したのです。テレビ広告には生活の達人として有名なタレントを起用し、同社がリコピン入りトマトジュースのパイオニアとのイメージを植え付けました。

 「鮮採蕃茄汁」は、健康的かつ美味、斬新なペットボトル入りということで、発売後すぐに口コミで人気商品となりました。小売店では一時品切れになるなど、1カ月で4億台湾元を売り上げたこともあったほどでした。同社の03年売上高は10億元で、前年比54%と大幅に増加、トマトジュース市場シェアは52%に成長しました。現在もシェア首位のベストセラー商品です。

消費者の「物足りなさ」が成功の鍵

 また、05年に実施したマーケティングでダイエットのためにお茶を飲む人が多いことが分かりましたが、当時はダイエット効果をうたった茶飲料はありませんでした。そこで同社は、脂肪を消費しやすくする茶飲料として「健康油切分解茶」を発売します。1本当たりの価格は35元と当時最も売れていた茶飲料より15元も高かったにもかかわらず、ダイエット志向の強い消費者の支持を得て人気商品となりました。

 陳氏は、消費者が抱く既存商品への「物足りなさ」こそが、愛之味の市場シェア拡大の鍵だと考え、毎年巨額の予算をマーケティングや研究開発に費やしています。

 愛之味は昨年12月末、世界最大の食品・飲料会社、ネスレのライセンスを受けて、紅茶ブランド「ネスティー」を受託生産、販売することを正式に発表しました。陳氏はさっそくペットボトル無菌充塡生産ラインの増設に15億元を投じることを検討しています。愛之味は研究開発力、生産力、販売力の強さで、ネスレの戦略パートナーに選ばれたのです。 

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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