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第133回 富邦集團董事長 蔡明忠氏


コラム 経営 台湾事情 作成日:2017年8月18日

台湾流経営策略

第133回 富邦集團董事長 蔡明忠氏

記事番号:T00072372

 金融持ち株会社、富邦金融控股を中核とした企業グループ、富邦集団董事長の蔡明忠氏は、弟の蔡明興氏(富邦金控董事長)と合わせて資産総額が100億米ドルに上り、米経済誌フォーブスの2017年版の台湾長者番付で3年連続の首位となった人物です。

 富邦集団の始まりは、父親の蔡万才氏が兄らと創業した国泰集団から79年に分社化した、損害保険会社の国泰産物保険(後の産物保険)です。蔡明忠と明興兄弟の的確なM&A(合併・買収)推進で、富邦集団は▽通信▽建設▽小売り▽レジャー▽慈善事業――などを傘下に持つ一大グループに成長しました。蔡万才氏は14年にこの世を去りましたが、従来より兄弟で事業を分担して引き継いでおり、長男の蔡明忠氏がグループを率いています。

アイデアは兄、実行は弟

 兄の蔡明忠氏は新しい発想や提案、弟の蔡明興氏は投資の実行を得意とし、2人の連携により富邦集団は急速に拡大しました。

 富邦集団は00年、シティバンクと提携したほか、02年には台北銀行を落札し、08年にはINGグループの生命保険会社、安泰人寿保険を買収するなど、金融業界で次々に買収を成功させました。05年に台北銀行と富邦銀行を合併させ、台北富邦銀行と行名変更するなど、金融機関に「富邦」の冠を付けるのが蔡兄弟のやり方です。

 金融業界以外では、通信キャリア大手の台湾大哥大(台湾モバイル)の経営権を03年に取得しました。05年にテレビショッピングmomo購物台を開局したほか、ケーブルテレビ(CATV)大手の太平洋聯網、続いて凱擘(kbro)を買収し、ケーブルテレビ市場ではシェア31%以上で首位に立ちました。

投資の3原則

 蔡明忠氏は、投資の3原則として▽将来なくならない産業▽現金収入が得られ、キャッシュフローが良い▽利益が安定している――を挙げています。金融、通信、テレビショッピングはいずれも投資の3原則をクリアしています。

 蔡明忠氏は17年6月、公益信託に富邦金控の株式1億株、台湾大哥大の株式3,000万株を寄付しました。これにより毎年、配当金の約3億6,800万元が慈善事業などに役立てられます。これは金融持ち株会社の代表者が公益信託を行った初めてケースです。蔡明忠氏は、ビジネスの事業拡大だけでなく、慈善事業にも熱心なことがうかがえます。
 

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講師:ワイズコンサルティング 顧問 荘建中
使用言語:中国語

荘建中

荘建中

ワイズコンサルティング社高級顧問

 年間200回以上のセミナー講演を行い、法律、経営、人事、財務、人材育成など、多岐にわたるテーマを幅広く扱っている。なかでも難解な内容をわかりやすく伝えることに定評があり、参加者から高い評価を得ている。ワイズのエース講師として、どんなテーマにも柔軟に対応でき、ユーモア有る話術で魅力的な講演が可能。(言語)中国語◎

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