記事番号:T00000083
日系企業の多くは管理部等に副總経理・協理・経理等の役職で日本語が話せ、社歴の長い「番頭さん」のような台湾人幹部が存在します。
彼らは新しい経営者より社内事情に精通し、また色々とアドバイスをしてくれたり、親切にしてくれるので、赴任したての経営者には大変貴重な存在です。
ところが、コンサルティングをしていて感じるのは、「番頭さんが問題」である企業が非常に多いということです。
今回は、この番頭さん達が引き起こす問題についてご紹介致します。
● D社の事例
D社の台湾人幹部である陳さんは、台湾現地法人設立時に入社し、現在では管理部協理を勤める生え抜きの経営幹部である。
日本語が流暢なのを武器に歴代の總経理に気に入られてD社ではNo.2のポジションを得ている。
新しく赴任した總経理も、はじめはいつもあれこれと親切に言ってくる陳さんが煩わしかったものの、いつも通訳等もしてくれる陳さん無しでは仕事にならなくなってしまった。
最近少し北京語がわかってくる様になってくると、どうも自分の話した内容と陳さんが他の社員に通訳している内容に差があると感じてきたので、ゴルフで知り合った経営コンサルタントに経営会議の参加を依頼してみた。
彼は日本人で北京語は流暢であるが、社内では北京語は出来ないと伝えておいた。
経営会議が終わってコンサルタントに感想を聞いてみると「總経理のお話の中で、台湾人に都合の良いことだけを自分の意見を加えて通訳しており、他の幹部からの意見も總経理に耳当たりの良いことしか通訳していない。」と聞いておどろいた。
今までの何が本当で何が嘘なのかに自信が持てなくなった總経理は、コンサルタントに社内調査を依頼したところ、陳さんは總経理の権威を利用し、実質的には会社を操っていた事が判明した。
總経理は陳さんのこれまでの貢献を考慮し、顧問という閑職に追いやった・・・・・・・。
現在の陳さんは、總経理が変わったのを期に新任の總経理に取り入り、D社の副總経理に舞い戻り活躍(?)している。
● 解説
実際、事例中の陳さんの様な幹部は非常に多い。
例え通訳をしていなくとも影響力は多大である。
總経理の要求にも「その業者は私が見つけてきます。」「それは台湾ではなじみませんので・・。」等と当たりは柔らかいものの、実質的には会社を牛耳っている。
貴方の会社にはこんな陳さんはいませんか?
ワイズコンサルティング 吉本康志