第168回 桂冠実業董事長 王正明氏


コラム 台湾事情 作成日:2020年7月17日

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第168回 桂冠実業董事長 王正明氏

記事番号:T00091090

 桂冠実業(ローレル・エンタープライゼズ)は設立50年になる冷凍食品メーカー大手です。

 中華圏で冬至や元宵節(小正月、旧暦1月15日)に食べる習慣のある、湯円(白玉団子)の市場シェアは約90%に上ります。鍋料理の具材や、電子レンジで温めてすぐに食べられる調理済み食品のシェアはいずれも約50%です。ロングセラー商品だけでも100種類以上を取り扱っています。年間売上高は26億台湾元(約95億円)です。

/date/2020/07/17/20keiei_2.jpg小さな湯円を口に入れると、中から濃い抹茶の餡(あん)が溢(あふ)れ出します(YSN)

栄誉を冠したブランド名

 桂冠実業董事長の王正明氏は1952年に生まれました。

 父親の王聯富氏は当時、氷の販売や冷凍庫の貸し出しを営んでいました。65年以降、海外の冷凍庫が台湾で販売されるようになって事業が立ち行かなくなり、冷凍食品の販売を手掛けるようになりました。

 王正明氏は3人の兄と一緒に冷凍食品会社を起業。父親に保証人になってもらい、銀行から120万元を借りてのスタートでした。長男が統率、次男が機械の研究開発(R&D)、三男と四男の王正明氏がマーケティングと、兄弟で分業しました。

 社名、ブランド名の「桂冠=ローレル」は、栄誉の意味が込められています。外国語学科を卒業した長男が、古代ギリシャで優れた詩人に月桂樹(ローレル)の冠を授与したという故事から名付けました。

 同社初の商品である魚餃(魚肉餃子=ギョーザ)は、鍋料理の具材市場で初のブランド名のある商品となりました。

 当時は台湾の冷凍食品市場が形成される前で、量販店やスーパーマーケットなどの近代化された販路はありませんでした。具材業者は、主に鍋料理店などの業務向けに販売していました。しかしこうした販路のうち、昔ながらの調味料、沙茶醤(サーチャージャン)を使った鍋料理店向けには、既に緊密な関係の具材業者の老舗が供給しており、桂冠が入り込む隙はありませんでした。

 桂冠は新たな販路を開拓するしかなく、当時新しかった韓国風の石鍋を使った鍋料理、石頭火鍋の店向けに販売を行いました。王氏はその後、伝統市場の鍋料理の具材店や魚店の販路も開拓しました。

 76年には、同社初のテレビコマーシャルを流し、「鍋料理の主役、桂冠魚餃」の宣伝文句で台湾の消費者の心に、ブランド名を印象付けることに成功しました。王氏は「コマーシャルを流して以来、伝統市場の鍋料理の具材店では桂冠ブランドの魚餃を置いていなければ、他の具材まで売れない状況だった」と振り返りました。

昔ながらの製造法にこだわる

 伝統市場の売れ筋商品、湯円にも目を付け、75年に商品化しました。

 同業者はもち米粉を購入して湯円を作りますが、桂冠は台湾産のもち米を買って、浸水させ、すりつぶし、こねるまでの六つの工程を全て省略せずに行います。王氏は、「桂冠がこの業界で足場を固められたのは、製造工程を重視したからだ。機械化はするが、昔ながらの方法を省略することはない」と語っています。

 桂冠の湯円は、発売後3年で市場シェア首位になりました。

 2017年には、日本茶の老舗、辻利茶舗とのコラボ商品、抹茶湯円を発売しました。それまでの冬至や元宵節に食べるものという既成概念を覆し、消費者が日常的に食べるスイーツの選択肢の一つとなりました。

家庭料理にも参入

 この他、外食する消費者が増えていることに着目し、冷凍のチャーハンやパスタなど、電子レンジで温めて簡単に食べられる家庭料理市場にも、03年に進出しました。

 王氏は12年、料理教室「桂冠窩廚房(ジョイ・イン・キッチン)」を始めました。自社商品を使った創作料理の作り方を教え、「簡単に作れ、おいしく食べられる」とうたいました。会員数は数万人に上ります。

 生産者目線でなく、消費者目線で需要を考えるよう、13年には食品メーカーから「食品サービス業」に転換しました。

 

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荘建中

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