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第173回 和泰汽車総経理 蘇純興氏/台湾


コラム 台湾事情 作成日:2020年12月18日

台湾流経営策略 台湾の名経営者

第173回 和泰汽車総経理 蘇純興氏/台湾

記事番号:T00093760

 トヨタ、レクサスの総代理店、和泰汽車は、2002年から18年連続で新車登録台数の業界首位に輝いています。シェア32.3%と、台湾人の3人に1人が和泰汽車の新車を購入している計算です。19年売上高は1,269億台湾元(約4,700億円)で前年比32%増、純利益は118億元で21.55%増でした。

トヨタ車の販売契約

 和泰集団の創業者、黄烈火氏は彰化県出身。中国で商売をしていましたが、戦後台湾に戻り、1947年に和泰汽車の前身となる和泰商行を創業しました。49年、トヨタ自動車と、台湾での販売店契約を結び、トヨタの海外進出を実現しました。

 黄烈火氏は参入した食品事業で忙しくなり、59年に親族の蘇燕輝氏に和泰汽車総経理の座を託します。

 蘇燕輝氏は自ら工場に出向いて製造工程を学び、トヨタ車製造の合弁会社、国瑞汽車の董事長に就くなど、台湾の自動車サプライチェーン(供給網)構築に貢献しました。

 和泰汽車創立50周年を迎えた97年より▽台湾市場に合う車種投入▽組織再編▽周辺事業の強化──などの5カ年計画を推進し、今の和泰汽車の基礎を築き上げました。蘇燕輝氏は20年4月、この世を去りました。

生産・開発・セールスまで

 10年、蘇燕輝氏の1人息子の蘇純興氏が和泰汽車の総経理に就任しました。蘇純興氏は66年生まれ、米マサチューセッツ工科大(MIT)の経営学修士(MBA)です。

 高学歴ながら、副管理職から下積みを始めました。初めて実習生としてトヨタに派遣され、和泰集団で最もトヨタを理解しています。2年間の実習生時代には現トヨタ社長の豊田章男氏とも知り合いました。

 蘇純興氏は台湾に戻った後、レクサスのブランドマネージャーや、国瑞汽車の副総経理を歴任し、生産、開発、マーケティング、セールスまであらゆるノウハウを培いました。

 蘇純興氏が10年に和泰汽車総経理に就任した後、売上高は過去最高更新が続きました。トヨタ、レクサスの17年新車登録台数は12万8,000台で、16年連続で市場シェア1位を獲得しました。

離職率5%未満

 蘇純興氏は、人材こそが一番の資産だと言います。台湾証券交易所(台湾証券取引所、TWSE)の19年給与実態調査によると、和泰汽車の非管理職の年間平均給与は211万元と、同業の平均71万元を大幅に上回り、従来型産業で首位でした。

 和泰汽車は毎年、営業利益の10%を賞与原資に充て、過去5年連続で賞与9カ月分以上を支給しています。毎年3カ月の春節ボーナス(年終奨金)を合わせると、12カ月分に相当します。パフォーマンスが良ければ、入社3年で年収は100万元を超えます。三節礼金(春節、端午節、中秋節ボーナス)、旅行手当や家族手当なども充実しており、離職率は5%未満です。毎年30人足らずの募集に5,000人が応募し、採用倍率は20倍以上です。

 創立70周年の17年、蘇純興氏は、型にはまらず頭を柔らかくし、デジタル時代に対応しようと従業員を激励しました。

 トヨタが推進する「MaaS(モビリティー・アズ・ア・サービス。マース)」戦略に呼応し、和泰汽車は20年11月にアプリによるタクシー配車サービス「yoxi」をリリースしました。加盟ドライバーは年内に1,400人に達する見通しです。

 蘇純興氏は、期待以上の製品とサービスを顧客に届け、和泰汽車の19年連続、20年連続首位という快挙を成し遂げようとしています。

 

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