記事番号:T00094696
玉晶光電(ジニアス・エレクトロニック・オプティカル、GSEO)は、アップルのスマートフォン、iPhoneやタブレット端末、iPadのカメラレンズを手掛ける光学レンズメーカー大手です。従業員は世界に1万人います。
陳天慶董事長は学業を修めた後、兄の陳天恕氏(前ジニアス董事長)と共に、父親が董事を務めていた和欣光学で、レンズ製造の技術を習得しました。その後、同社が財政難に陥り、父親が3,000万台湾元(約1億1,300万円)の負債を抱え、水道や電気料金の1,000元さえ支払えないほどの状況に陥りました。
陳兄弟は、大立光電(ラーガン・プレシジョン)が初のプラスチックレンズ製造に成功したのを知り、商機を予想し、父親の反対を押し切って1990年にプラスチックレンズ製造専門のジニアスを設立しました。設立当初は兄が董事長で、陳天慶氏が総経理でした。
プラスチックレンズはガラス製とは異なり、射出成形で作られます。ジニアスは1年近く試行錯誤を重ね、射出成形機の操作マニュアルを完成させました。
携帯電話用レンズに着目
デジタルカメラ時代だった99年当時、日本メーカーとの関係が良好なラーガン、亜洲光学(アジア・オプティカル)、今国光学工業(キンコ・オプティカル)の光学レンズ大手3社が、受注の約8割を握っていました。
兄の陳天恕氏は販売会社との会合で、これからの携帯電話にはカメラ機能が備わると耳にし、商機を嗅ぎ付けます。当時、サムスン電子の携帯電話にはカメラ機能が付いていましたが高額だったため、人気がありませんでした。そこでジニアスは、携帯電話用レンズモジュールの開発に取り組み始めました。
2001年末、ジニアスは台湾メーカーとして初めて携帯電話カメラ用レンズの設計・量産ができるようになり、状況が好転し始めました。
04年、モトローラのVGAカメラ搭載人気機種、「RAZR(レーザー) V3」が発売され、ジニアスは主要サプライヤーとして成長しました。
05年には株式市場に上場。当日の終値は499元と、公募価格の238元から約2.1倍に跳ね上がり、過去最高の上昇幅を更新しました。
アップルのサプライヤーに
07年、陳天慶氏が兄の陳天恕氏から董事長の役職を引き継いだころ、試練が降り掛かりました。製造工程のアップグレードが難航、新工場の減価償却費がかさみ、3年連続で赤字を計上しました。
しかし、10年には黒字転換を果たしました。黒字化の鍵は、郭英理氏を引き抜いて総経理に起用し、アモイ工場の情報分析室を任せたことです。在庫や生産量などの情報を随時把握し、生産ラインの歩留まり率を急激に向上させました。もう一つの鍵は、ラーガンに続き、iPhone3GSでアップルのサプライチェーン入りを果たしたことでした。
11年、iPhone4sの人気で、ジニアスは資本金と同規模の利益を計上しました。
17年、iPhone8のメインカメラレンズの供給を開始し、翌18年にはiPhoneXRのメインカメラレンズを量産・出荷しました。
ジニアスの20年連結売上高は前年比31.95%増の158億9,500万元と、過去最高でした。
陳天慶氏は、顧客の力強い需要により、21年第1四半期の売上高は、同期として過去最高を更新すると予測しました。
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