第176回 麗宝集団董事長 呉宝田氏/台湾


コラム 台湾事情 作成日:2021年3月26日

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第176回 麗宝集団董事長 呉宝田氏/台湾

記事番号:T00095285

 麗宝集団は、創業当時から手掛ける建設業の麗宝建設や麗源建設のほか、▽ホテルチェーンの福容大飯店(フーロンホテル)▽テーマパークの麗宝楽園渡仮区▽麗宝アウトレットモール▽バイオテクノロジー業の麗宝生医──など幅広く事業を展開しています。

 董事長の呉宝田氏は、従業員に対し「やるべきことをきちんとやれば、稼ぐことができる」と指導します。麗宝集団をゼロから一大企業グループに育て上げたのは、やるべきことを着実に行ってきたからです。

わずか8カ月で一人前に

 呉氏は1951年に生まれました。子どもの頃は生活が苦しかったため、小学校卒業後すぐに働きに出ました。他の子どもたちが遊んでいる中、お金を稼ぎ、家計を助ける必要がありました。

 16歳で左官職人の見習いになりました。建設工事で最もつらい仕事です。セメントをかき混ぜるのに強い力が必要な一方、壁にセメントを塗るときには細心の注意を払わないと、むらなく仕上がりません。セメントによる手荒れで、呉氏の手はいつも皮が破れ、血がにじんでいました。

 左官職人として一人前になるには、普通は3年半かかります。しかし呉氏は少しも時間を無駄にせず、どんなことにも熱心に、着実に取り組んだ結果、たった8カ月で一人前になりました。

 見習い期間中、「全てを具体的に検討し、手順に従って進め、一度で確実にやり遂げなければならない。さもなければ2倍以上の時間がかかる。信用が大切で、やると言ったことはやり遂げる」という、仕事への心構えを学びました。

 18歳までに、100万台湾元(約380万円)を稼ぎました。

値ごろのマンションに参入

 呉氏は早くから資金を貯め、米台断交の翌年の80年に、協力者とともに2,000万元を投じて麗宝建設を設立しました。台北市で、比較的安い小規模なアパートを建設し、少しずつ知名度を上げていきました。

 86年に方針転換し、当時は誰も見向きもしなかった台北県五股郷(現在の新北市五股区)で、麗宝建設初のマンション「麗宝新円山」を完成させました。

 麗宝新円山を代表作とするため、土地取得から企画設計、完工までに3年もの年月を費やしました。設計図は100回近く見直しました。

 施工中、呉氏は中庭の設備に満足せず、従業員に一から作り直すよう命じました。従業員が100万元余りかかるのにいいのかと問うたところ、呉氏は「100万元がそんなに大事なのか。それとも入居者に今後数十年の間ずっと不快な思いをさせる方がいいのか」と問い返しました。

 街の中心部から離れた地域に、「手ごろな価格の品質の良い住宅」をコンセプトとして建設した麗宝新円山シリーズは、安い住宅は品質が悪いという既成概念を覆し、不景気の中でヒット商品となりました。呉氏の建築業界での地位獲得にもつながりました。

 また、業界で主流の予約販売制を採らず、建設後に販売することにこだわりました。予約販売制を採用する建設業者は、平均3年で1棟を建設するスケジュールでした。一方で呉氏は2年で1棟建設することで、資金を循環させました。

 消費者からは、完成後の実際の物件を見て確かめて購入できると好評で、購入トラブルも減りました。

事業を引き継ぎ、起死再生

 呉氏は、事業の多角化を進めました。前の経営者が問題を解決できず、破綻寸前の事業や、誰も手を出したがらない複雑な事業を引き継ぎ、よみがえらせました。

 2006年、台湾最大の民間レジャー事業のBOT(建設・運営・譲渡)案件、月眉育楽世界(現在の麗宝楽園渡仮区)を長億集団から引き継ぎました。

 競売で、月眉育楽世界の運営を手掛ける月眉国際開発の株式32%と不良債権69億元を、20億7,000万元で取得しました。

 普通の人なら、銀行も見捨てるひどい状態の案件と見るところ、呉氏は、月眉育楽世界の開発に投じられた100億元を資産ととらえていました。債務整理、減資、増資などのステップを踏み、3割に満たない対価で、月眉育楽世界の99.9%株主になりました。

 ホテル事業では、01年にフーロンホテルを設立。これまでに15軒のチェーンへと拡大しました。

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荘建中

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シニアコンサルタント

難しい事をわかりやすく伝えるプレゼン力はワイズNo.1、毎年セミナーや研修で200回/年を越える講演を行っている。

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