記事番号:T00091713
星宇航空(スターラックス・エアラインズ)は、2018年に設立されたフルサービスキャリア(FSC)の航空会社です。今年1月23日にマカオ、ダナン(ベトナム)、ペナン(マレーシア)に就航しました。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、2月8日より全便欠航を強いられましたが、6月にペナン線、7月にマカオ線を再開。今後、沖縄線、セブ線の就航を予定しています。
張董事長(中)自ら操縦し、台湾上空を一周する特別フライトは7日の一般販売分に続き、16日にも従業員と家族を乗せて運航されました(中央社)
社名に込めた父への敬意
スターラックスの董事長、張国煒氏は1970年、長栄集団(エバーグリーン・グループ)の創業者、張栄発氏の四男として生まれました。2番目の妻との間に生まれた国煒氏は、16年の栄発氏の死後、後継者争いに敗れて長栄集団を離れ、新会社、スターラックスを設立しました。
社名は、国煒氏が名付けました。星宇航空の「星」は、栄発氏が海運事業で、全地球測位システム(GPS)が無かった時代に、星を頼りに方角を判断していたことに由来します。「宇」は、会社が宇宙に向かって極限まで突き抜けるようにという願いが込められています。
空飛ぶ董事長
国煒氏は26歳のとき、エバー航空の客室乗務員(キャビンアテンダント、CA)だった蔡青珊氏と恋に落ちました。家族の反対を押し切って結婚しましたが、半年後には関係が悪化し、別居しました。国煒氏は事業に没頭。努力が実り、エバー航空の総経理になりました。
その後、国煒氏は子会社の立栄航空(ユニー航空)のCA、葉淑汶氏に巡り合いました。この出会いは栄発氏の逆鱗(げきりん)に触れました。2人の燃え上がる愛の炎を消そうと、総経理の座にまでプレッシャーを掛けました。しかし、国煒氏も父親の頑固な性格を受け継いでいました。前妻との離婚を急ぎ、父親と何度も衝突した揚げ句、葉氏と駆け落ち。米国で甘い時間を過ごしてから台湾に戻り、結婚の手続きを完了させました。
国煒氏は妻とともに米国に戻り、自分の力を証明するため勉学と研さんに励み、ボーイング777-300ERの操縦士の免許と航空整備士の資格を取得しました。栄発氏は国煒氏の努力する姿や成果を見て、次第に態度を軟化させました。妻の妊娠をきっかけに、国煒氏はエバー航空の事業に復帰。平社員から董事長まで上り詰めました。
16年1月20日、栄発氏がこの世を去りました。現金、株式、不動産を国煒氏1人に相続させるという手書きの遺言書を残していたため、遺産相続と後継者争いが発生。国煒氏は2月、エバー航空を離れることになりました。
18年5月、スターラックスを設立。国煒氏は、台湾初のボーイング777操縦士の免許と航空整備士の資格を持った董事長となりました。
トランジット需要に照準
国煒氏は、航空市場で勝ち抜くには、米国など長距離路線のアジアでのトランジットが鍵になると考えました。そこで、東南アジアに次々と就航し、トランジットの土台を築きました。
これまで台湾の航空会社があまり重視していなかった機内エンターテインメントにも注力しました。娯楽設備は全て最新システムを採用し、全クラスでWi-Fiサービスを提供。機内食にもこだわりました。
また、機長をはじめ乗組員が健康な状態で働けるよう、▽心拍数▽血中酸素濃度▽ストレス指数▽睡眠の深さ──などのデータを確認、記録できるガーミンのウエアラブル(装着型)端末を配布しました。
国煒氏の試みはいつも従来のやり方にとらわれず、人のニーズが出発点です。
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