記事番号:T00089989
台湾では近年、政府の新車購入補助政策が後押しし、電動バイクが急速に普及しています。市場をリードし、シェア9割以上を占めるのが睿能創意(Gogoro台湾)です。従業員は2,300人。直営店は29店、バッテリー交換ステーション「GoStation」は1,600カ所以上にあります。
Gogoroの乗り捨て型レンタルサービス「GoShare」なら気軽に電動バイクを試せます(YSN)
最も美しい電動バイク
Gogoro創業者兼執行長の陸学森(ホレイス・ルーク)氏は、1970年に香港で生まれ、米国で育ちました。大学で工業デザインを専攻し、マイクロソフト(MS)の家庭用ゲーム機「Xbox」などの開発に携わりました。宏達国際電子(HTC)のスマートフォン創意長(チーフ・イノベーション・オフィサー、CIO)として招かれ、2007年に台北に移住しました。
陸氏は、台湾の人口は2,000万人余りで、バイクは1,400万台近く、バイクが台湾人の足となっていることに気が付きました。地球温暖化の問題に関心があった陸氏は、世界最多の交通手段であるバイクを改善すれば、世界の環境を改善できると、起業を決意しました。
陸氏は11年、Gogoroを創業しました。陸氏は当初、大手バイクブランドとの提携を試みましたが、門前払いが続きました。そこで、思い切って自分で作ることにしました。
Gogoroは15年、米コンシューマー・エレクトロニクス・ショー(CES)で、台湾で研究開発(R&D)・製造した初代電動バイク、Gogoroを発表しました。この国際舞台で「世界で最も美しいスマート電動バイク」の名を獲得し、台湾電動バイク界のスターから、世界の電動バイク産業の一席を占めました。
陸氏の理念に賛同し、株主となったのは、潤泰集団(ルンテックスグループ)の尹衍樑(サムエル・イン)氏のほか、▽パナソニック▽住友商事グループ▽ゴア元米国副大統領が設立したジェネレーション・インベストメント・マネジメント▽仏エネルギー大手、エンジーグループ──などの名が連なります。
創業者自らデザイン
完璧主義で、要求が厳し過ぎると従業員に形容される陸氏自らがデザインした電動バイクは、アルミ合金製の一体成型で、パワーがあり、ファッショナブルな車体でした。
価格は12万8,000台湾元(約46万円)と高額で、全く受け入れられませんでした。それでも陸氏は失敗と考えていませんでした。
17年に発売した第2世代の「Gogoro2」は、政府の新車購入補助の適用で実質3万8,000元と、庶民路線に転換し、好評を博しました。
当初はスマートエネルギー網を構築したいと考えていただけの陸氏ですが、電動バイクの設計、開発、サプライチェーンの構築、工場建設、店舗経営まで手を広げ、昨年夏には電動バイクの乗り捨て型レンタル(シェアリング)サービス「GoShare」を始めました。
バッテリー交換で世界征服
陸氏は、Gogoroを単なるバイクメーカーでなく、プラットフォームと考えています。従来の電動バイクはバッテリーの充電が必須でしたが、Gogoroのバッテリーは交換式で、Gogoroのバッテリー交換システムを採用した他社の電動バイクもGogoroのバッテリー交換ステーション「GoStation」を利用できます。
GoStationでは、わずか10秒で充電済みバッテリーに交換できます(YSN)
さらに、Gogoroの電動バイクの輸出が進むにつれ、世界にバッテリー交換ステーションも増え、Gogoroの規格が全世界に広がるのです。
荘建中
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722