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宝雅国際(POYAインターナショナル)は台湾最大手のコスメ用品店です。店舗は台湾各地に計230店、市場シェアは82%に上ります。新規出店を続け、2025年に350店を目指しています。昨年の連結売上高は157億8,800万台湾元(約580億円)、純利益は18億8,600万元で、いずれも過去最高を更新しました。
POYAは観光客にも人気です(YSN)
POYAの成長には、陳宗成総経理の情報技術(IT)を活用した経営戦略が大きく貢献しました。
IT出身の総経理
陳宗成氏は逢甲大学資訊工程学系(情報学部)卒業。POYA創業者で義理の父の陳建造董事長が、陳宗成氏を店長から、中核メンバーに招き入れました。
陳宗成氏は00年に総経理を引き継ぐと、販売時点情報管理(POS)システムの改善や、サプライヤーとの連携を強化するCPFR(需要予測と在庫補充のための共同作業)の導入などを行い、販売量や在庫量、市場の変化の正確な把握、パソコンでのデータ管理を実現しました。
02年には周囲の反対を押し切り、株式の上場(上櫃)を果たしました。当時わずか12店舗だったにもかかわらず、上場によって知名度が大きく上がり、外資系企業の人材を獲得できるようになりました。
地方から大量出店
陳氏は「地方が都市を囲い込む」出店戦略を取りました。まず賃料の安い地方都市に、自社店舗同士の競争も厭(いと)わず出店を進めました。これで他社を阻止し、POYAの市場シェアは急速に上昇しました。
例えば高雄市岡山区では、車で5分以内の範囲に3店舗がありますが、地方にもかかわらず驚くほどの業績を上げています。そのうちの1店は月20万元の賃料で、月1,200万元以上を売り上げています。
中南部での出店コストが低いことに加えて、大量出店により価格交渉力が強まり、商品のコストダウンにもつながりました。平均で開店2カ月後には利益が出るため、出店を進めながらも、安定経営ができます。
高利益の靴下などが6割
POYAは取扱商品が6万種類にも及ぶ一方で、目を引く新商品も絶えず陳列しており、「POYAに行けば、何でも買える」という品ぞろえと独自性が強みです。
ボディーソープやシャンプーなどの消耗品は他社との競争が激しく、常に値引きのプレッシャーにさらされますが、POYAはヘアアクセサリーや下着、靴下など、粗利益率が30~40%と高い商品が全体の6割近くを占めています。特に靴下は、どの店舗でも多くの種類の商品が陳列されています。
10年前、POYAの粗利益率は30%足らずでしたが、その後の店舗拡大と商品ラインアップの改善によって、18年には43.79%まで上昇しました。これは、コンビニエンスストア最大手のセブン-イレブンを展開する統一超商(プレジデント・チェーンストア)より10ポイント近く高い数字です。
POYAは、市場の変化に素早く対応できるのも強みの一つです。近年、日本輸入商品販売の最大手、日薬本舗(ジャパン・メディカル)をはじめ、日本の商品を取り扱うドラッグストアが次々と増える中で、POYAもすぐに日本のスキンケア用品コーナーを設置して対抗しました。
店長に権限委譲
店長出身の陳氏は、管理職を置かず、100人もの店長と直接やり取りし、その声に耳を傾けています。また、店長に大きな権限を与え、地域に応じた店舗運営を任せています。
陳氏のITを活用した経営手腕として、仕入れの改善例があります。以前は本社が一括して調達していましたが、地域によって売れ筋が異なり、的確な予測は不可能で、在庫を出していました。そこで、自動発注システムを開発し、過去のデータを分析し、店舗ごとに発注量を助言するようにしました。ビッグデータの先駆者といえるでしょう。
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