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ディスカウントストア「小北百貨」の創業者の黄卜文氏は、2017年10月、心不全で死去しました。54歳でした。
深夜に家の電球がつかないときやトイレの水漏れが起きたとき、台湾人が頼りにするのが、24時間営業、年中無休で、台湾全土に128店舗を展開する小北百貨です。小北百貨は、中国語で「五金王国(大手生活雑貨店)」と呼ばれています。小さなねじから大きなマットレスまで、家庭で使う生活用品を販売しています。
小北百貨は台湾で唯一100店舗以上を展開している生活雑貨店です(YSN)
海鮮料理店が出発点
黄氏は1986年、23歳で親戚とともに台南市の小北成功夜市に海鮮料理店を開店しました。店は台南から高雄まで、6店舗に拡大しました。
しかし、海鮮料理店は不景気で業績が低下。この時に夜市(ナイトマーケット)で金物を販売していた屋台からインスピレーションを受け、94年、30歳の時に、海鮮料理店を閉め、100万台湾元(約350万円)を投じて同じ場所に小北百貨を開店しました。
低価格で勝負
黄氏は同業他社と差別化すべく、低価格での販売路線を採用します。他社が商品を台湾で仕入れて販売する中、中国や、タイなど東南アジアを仕入れ先に選びました。これらの国々での仕入れ価格は台湾や日本の半分でした。これにより、早期の段階で低価格の仕入れを安定させました。
また、店舗の商品棚はスチール製、床は簡易塗装、余計な装飾をせず、設備はシンプルにしてコストを抑えました。
ビジネスチャンスは深夜に
ある日の閉店後の深夜、急な商品購入を求める客がやって来たため、黄氏は仕方なく店を開けました。客は買い物が終わった後、「店を開けてくれて助かったよ。これから急用のときは毎回頼るよ」と興奮気味に感謝の言葉を述べました。この時の体験によって、生活雑貨店は夜にビジネスチャンスがあることに気付き、店を24時間営業、年中無休にしました。
同業他社は、仕入れや在庫のコストを削減するため、売れない商品の仕入れは避けました。しかし、黄氏は客が買うかもしれないものは全て仕入れました。売れ行きが悪い低人気商品であっても、客が必要なときにいつでも購入できるように、商品棚には少なくとも1つは陳列しました。小北百貨では、卓上用の小型ちりとりとほうき、寺や廟(びょう)の参拝用品など、使用頻度が少ない商品も必ず買えるようにしました。
独特な店舗拡大手法
小北百貨は当初、従業員の給料は現金払いでした。そして、黄氏は給料袋の上に記された支給額よりも、1,000元多く入れていました。従業員を観察することが目的でした。1,000元多いことを正直に伝えた従業員は、他の支店の管理職に抜てきしました。
店舗拡大の手法は独特でした。1店舗を拡大するごとに1つの会社を設立。株式の約15%を社員持ち株に充て、このうちの半分は店舗の業績が向上した場合に、社員に割り当てることにしました。従業員は出資者として、自分の事業の気持ちで経営に当たることができます。やる気が向上した従業員は多く、配偶者や子供も入社させて仕事に取り組んだケースも少なくありませんでした。
生活雑貨店は一般的には小規模経営が多いです。そうした中、黄氏は07年、業界で一足先に販売と在庫管理システムを導入して、チェーン店の経営基礎を作り上げました。後にERP(企業資源計画)や販売時点情報管理(POS)システムも取り入れました。
12年には新本部を設立し、数千坪の倉庫も併設しました。最近では、クレジットカードはもちろん、LINE Pay(ラインペイ)、アップルペイなどの電子決済にも対応。顧客ファーストの経営姿勢がぶれることはありません。
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