記事番号:T00000021
● 企業に義務づけられるセクハラ対策
前回ご紹介致しました通り、従業員10人以上の企業ではセクハラ防止対策を義務づけられます。
今回は企業が義務づけられる防止策についてご紹介致します。
● 従業員10人以上の企業の場合
従業員10人以上の企業には「セクハラが発生した場合の告発ルートの設置」が義務づけられています。
具体的には従業員がセクハラに逢った場合の告発の為の
1. 告発専用電話回線
2. 告発専用メールアドレス
3. 告発専用ボックス
等のいずれかの方法により、告発者の身元が分からない様に告発できる方法を準備し従業員に公開する必要があります。
この他にも、告発者のプライベートを保護しながら調査・審理する「セクハラ処理委員会」の設置や告発方法や調査・審理の方法を明記した「セクハラ対策規程」等を作成する必用があります。
● 従業員30人以上の企業の場合
従業員30人以上の企業には「上記措置+予防措置」が義務づけられています。
従いまして、上記措置の他に
1. 就業規則に懲罰規定を盛り込む改訂
2. 職場内のセクハラ防止の為の教育訓練の提供
3. 社内のセクハラに対する考え方の公示
等の対策が必要となります。
● 未対応時の罰則
上記対策を行っていない企業は担当県市政府から改善指導と罰金が課せられます。
しかも罰金は期限内に改善していない場合、連続して課せられますのでご注意下さい。
● 前回の事例の答え
事例:「日系企業のS社に勤める鄭小姐(仮名)は最近煩わしい事がある。
鄭小姐の悩みは昨年赴任してきた宮下総経理(仮名)の事であった。
日本語を話せる台湾人社員は社内にたくさん居るのに、何故か宮下総経理はいつも鄭小姐に話しかけて来るのである。
ただ話すのなら問題は無いのだが、宮下総経理が鄭小姐に話しかける時は、いつもニヤニヤしジロジロ見ながら話しかけてくるので、気持ち悪いのだった。
鄭小姐は仕事が手に着かず友達に相談したが、「それはセクハラにはならないでしょ~」と言われてしまった。
現在、鄭小姐は会社を辞めようかと本気で悩んでいる…」
この判定は微妙です。
理論的にはセクハラなのでしょうが、宮下総経理をセクハラ加害者と認定する事はできません。
したがいまして、宮下総経理は告訴はされないでしょうが、もし、鄭小姐が「S社には告発する方法が無かった」と訴えられれば、S社は10万元以内の罰金となります。
ワイズコンサルティング 吉本康志