記事番号:T00000167
●採用1
台湾における採用は日本の様に同時期に新卒者を大量に採用するという方法とは違い、随時必要なレベルの人材を必要なだけ採用する方法を採っています。
台湾における人材募集の方法はおおまかに以下の方法に分けられます。
1. 新聞広告への掲載
2. インターネットの就業サービスの利用(公共機関+民間)
3. 人材紹介会社の利用
4. 社員からの紹介
過去においては1と4による求人方法が主流でしたが、現在は2と3による求人が増えて来ています。
ここでポイントは採用する人材のレベルによって募集の方法を変える事です。
政府の統計資料によると、月収2万元以下の人材の効果的な募集方法は、
1. 知人の紹介
2. 求人広告、求人ポスター
3. 公共機関の利用
となります。
同じく2万元以上の人材については、
1. 民間人材サービス
2. 求人広告、求人ポスター
3. 知人の紹介
となっています。
月収の高い人材ほど民間人材サービスの割合が高くなる傾向にあるのですが、こんな落とし穴も存在します…
<事例7 幹部人材の採用>
日系企業のP社は新規事業立ち上げの為に、新規事業の営業を担当する課長職の人材が必要であった。
P社の新規事業は社内の事情から急速に立ち上げる必要があり、失敗は許されなかったが、P社内部には新規事業の台湾事情について詳しい者はいなく、新規事業の業界に詳しい営業課長を社外からヘッドハンティングしてくる必要があったのだ。
P社はいつも利用している日系のM社という人材紹介会社にこの営業課長のヘッドハンティングを依頼した。
日系では大手のM社は、豊富な人材ネットワークから要望に合った候補者を2名紹介し、P社ではそのうちの一人である荘氏を営業課長として採用する事になった。
…1年後、P社の新規事業は荘氏のお陰で順調に立ち上がってきていた。
そんなある日、荘氏は突然自己都合により退職することになった。
P社では新規事業の為に荘氏の存在は不可欠であり、引き留めを行ったが荘氏の意思は固く、1ヶ月後に退職してしまった。
そんなある日、新規事業を担当している営業マンから、荘氏は日系の競合他社で経理(部長)をしている情報を得た。
荘氏は競合にヘッドハンティングされたのだった…
<解説>
人材紹介会社にヘッドハンティングを依頼するのは大変危険です。
その理由は、人材紹介会社は多くの企業と浅く広くお付き合いしていますので、大手になるとほとんどの日系企業が人材紹介のクライアント先となっています。
つまり人材紹介会社は「どこの企業からヘッドハンティングしてもクライアントの利益を損ねている」ことになりかねないのです。
まして、人材紹介会社の持っているハンティング候補の獲得ルートは、クライアント企業に紹介した人材しかいないのが実情です。
ですから、仮に有能な人材のヘッドハンティングが成功したとしても、保証期間が過ぎれば、ヘッドハンティングを依頼した会社が同じ人材を他社にヘッドハンティングされてしまう可能性は高いのです。
ワイズコンサルティング 吉本康志