記事番号:T00000165
● 人材育成2(40~50代幹部の苦悩)
現在40~50代の台湾人の人達には以下の傾向があります。
1. 貧しさを経験している人達が多く、忍耐力がある。
2. 大卒以上の学歴を持つ人の割合が少ない。
3. 若い頃は先輩達に軍隊式命令により育てられた。
4. 過去の経験は豊富だが、応用力や創造性が弱い。
5. 論理立てた説明や議論が不得意。
それに対して、若い人達は若くなればなるほど、40~50代の人達と正反対の特徴を持つ傾向にあります。
このジェネレーションギャップは日本のそれより大きく、急激な環境変化に対応できていない中高年幹部と若年層社員とのギャップが組織力を弱体化させる大きな要因となっています。
<事例6:後継者選び>
B社は創業40年の台湾企業である。
創業者の周氏は裸一貫から創業し、現在では500人の従業員が働く規模の企業になっている。
B社の発展のポイントは、経営者である周氏が経済環境にあった製品をいち早く見つけ出し、海外から技術を導入し生産してきた事である。
周氏は学歴は低かったが、独学により経済や経営、技術等様々な事を学び成長して来た。
よく「企業は経営者の器以上には大きくはならない」と言うが、それが本当なら、周氏は500人の規模に相応しい器の社長に成長してきたといえる。
そんな周氏の現在の悩みは「後継者問題」である。
周氏は既に70歳を過ぎているが、息子はアメリカで医師をしており、自分の次の後継者になるつもりはない。
そこで現在の幹部の中から誰か後継者を見つけるのが最有力な方法であるが、なかなか相応しい人材が見つからないのだ。
現在の経理(部長)以上の幹部達は、創業間もない頃、明日がどうなるかわからない小さな工場の頃からの社員で、忠誠心は高いが創造性が乏しく自分達で新しいビジネスを生み出すことはできない。
現在のB社の新規事業を立ち上げ、成長に貢献している20~30代の社員達は、B社がある程度の規模になってから入社したので、大卒は当たり前で、中には有名大学の修士や博士号を持つ者もいる。
彼らは、能力は高いが、論理的な討論や思考が出来ない中高年幹部達を見下しており、上司には非協力的で、上司も彼らをコントロールできる管理スキルを持っていなかった。
悩んだ周氏は経営コンサルタントに相談する事にした…
ワイズコンサルティング 吉本康志