記事番号:T00000162
● 人事労務に関連する法律問題1
ペーパーカンパニーでない限り、どの様な会社でも「人」が関係してきます。
例え社長一人だけの会社であっても「人」に関する法律問題があります。
ここでは、そんな「人」に関する法律(労働関係法規)についてご紹介致します。
●労働関係法規をご存知ですか?
車を運転する為には道路交通法を知らなくてはなりません。
例えば、自動車を操作する事はできても駐車禁止の標識の意味がわからず、駐車禁止の場所で駐車したらどうなるでしょう?
まわりの人に迷惑を掛け、本人は駐車違反の罰金を払う事になりますし、運が悪ければレッカー移動させられ、更に費用負担が増える事になります。
最近日本では「車の運転中は電話してはいけない」という内容の法律が施行されましたが、この法改正を知らずに多くの人が罰金を払う事になりました。
法律の内容や新しい動向を知らないと、車を操作する事はできても、路上で運転するには大きなリスクを背負う事になります。
同じ様に従業員を雇用する歳には労働関係法規を知る必用があります。
しかし、実際には「日本の通りやっていれば問題ないだろう」と安易な考えに流されがちですが…
<事例3>
庄治氏は総経理として台湾赴任10年目のベテラン駐在員である。
10年も駐在していると、台湾の事情は大体理解しているつもりであった。
ある日、試用期間中の社員Aを不採用に決定し、本人に告知したところ、社員Aから解雇手当を請求された。
「試用期間中なので解雇手当は必要ないし、過去にもそういうものは払った前例はない」と答えたが、社員Aは納得せず、「もし払わないのなら告訴する」と言ってきた。
弁護士事務所を訊ね相談をしたが、弁護士の判断は「解雇手当支払う義務がある」との事であった。
庄治氏は「ふーん、日本と台湾は試用期間の意味も違うのだな~」と思った…
<解説>
実は日本でも台湾でも試用期間だからと言って会社側が一方的に不採用にして良いわけではない。
日本も台湾も不採用にする場合は、正式雇用者と同じ手続きが必用になる。
事例では庄治氏は弁護士に相談に行ったので良かったが、もし社員Aと全面対決をしていれば、敗訴は確実である。
この原稿をお読みの方の中で、日本でも試用期間だからといって不採用に出来ない事をご存知の方は何人いらしたでしょうか?
実は私達は日本の法律もよくわかっていないのです。
ですから、知っていると思わず、台湾で経営を行うのであれば、台湾の法律を学ぶ必要があります。
ワイズコンサルティング 吉本康志