記事番号:T00000051
●新退職金制度が経営に及ぼす影響
2005年は経営に大きく影響を与える法規の施行は二つありました。
一つ目は「移転価格税制」で、二つ目が「労退新制」です。
今回は二つ目の「労退新制」が経営にどのような影響が有るかについてご紹介致します。.
今回の新制度導入にあたり、政府、企業、従業員の立場で看たメリットとデメリットをまとめたのが別紙の図(*立場の違いによる新制度のメリットとデメリット)になります。
経営する立場から考えると、一番困るのが「人件費の増加」ではないでしょうか?
今回の制度が導入にともない、おおよそどれだけ人件費が増加するかをまとめたものが、別紙の図(*企業が老保局/中央信託局に負担する費用)になります。
一般的には、新制度導入に伴い6%の拠出が負担となると考えられています.
企業にとって差があるものの、多くの企業にとっては6%以外に以下の負担が増える可能性があります.
?過去に中央信託局に労働者退職予備金を積立てしていなかった企業は、今後最低2%の積立てが必要となります.(積立てていた企業も多くは5年間は引き続き積立てする必要があります)
?「以多保少」(賃金を実際より少なく申告し、労保&健保の拠出を減らす方法)を行っている企業は、正確な賃金による拠出を行う必要があります.
?については、台湾の法人企業の90%が過去に拠出をしてきませんでした。
今後は、厳しく取り締りを行う仕組みができましたので、未だ中央信託局に口座を作られていない企業は早急に口座申請し、毎月賃金の2%以上を5年間に渡り積立てする事をお勧めします。
ただし、世間一般的には「旧制度分の積立て不足を5年間で全額積立てしなければならない」と言われておりますが、最低、賃金の2%の積立てを行えば必要有りません。
?については、会社設立が長く、ベテランの会計担当者が居る企業ほど注意が必要です。
会社の為にと、会計上のテクニックを使い、経営者の知らないところで「以多保少」がされているケースが多いからです。
過去では「以多保少」をおこなっていてもほとんど見つかる事はありませんでしたが、今後は労保・健保・労退新制の3つの制度でシステムが統一されるため、必ず見つかる事になります。
そうかと言って、労退新制の拠出額も減らすと、従業員が自分の口座残高がインターネットや電話で把握できるため、即見つかり、労工保険に訴えられるはめになります。
ワイズコンサルティング 吉本康志