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知らなかったでは済まされない 労退新制のリスクと対策3


コラム 人事労務 作成日:2006年8月28日

台湾経営マニュアル 台湾人事労務

知らなかったでは済まされない 労退新制のリスクと対策3

記事番号:T00000052


●新制度への移行措置

新制度への移行措置を説明する前に、新旧退職金制度にはどのような違いがあるかを把握する必要があります。

別紙の図(*旧制度と新制度の比較)は新旧制度の違いを比較したものです。
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詳細は誌面の関係で省略させて頂きますが、雇用側が注意すべき点は以下の通りとなります。

①従業員が新制度を選んでも、2005年7月以前の部分にあたる退職金は、旧制度の方法で雇用者が負担しなければならない。

②台湾国籍の従業員(正社員、定期雇用契約社員、パート、アルバイト)に対して退職金を積立てる義務がある。

③新制度の積立金は雇用者側は賃金の6%以上積立てなければならず、労働者は最大6%まで自主的に積立てることができる。

④雇用者側に2005年7月1日以降の勤続年数に対する退職金の支払い責任は無い(労工保険局が責任を負う)

⑤積立金の所有権は労働者本人となり、いかなる者も、いかなる時でも積立金を差し押さえする事はできない。

⑥解雇手当は新制度移行で大幅に減額となる。

旧制度は台湾の社会環境に合っていなく、9割の人が退職金を受け取る事ができない制度でしたが、新制度は従業員ならほぼ全ての人が受け取る事のできる制度になっています。

転職しても、会社が倒産しても、本人が死亡しても(遺族が)受け取れる仕組みであり、正確に内容を伝えればほとんどの従業員は新制度を選択する筈です。

労工委員会の調査では7割以上の人が新制度を選択しています。

従業員の為にも、ぜひ間違った情報に惑わされないで新制度を選択するようにしてあげて下さい。
T000000522


旧制度から新制度への移行措置についてチャートにまとめたのが別紙の図(*旧制度から新制度への移行措置)になります。

新旧制度移行についてのポイントは、以下の通りです。

?雇用側は、旧制度の積立て不足を補う為に、5年間は2005年7月1日以前に入社した社員の賃金に対する2%を中央信託局に納めなければならない。

?5年間で不足額を全額満たす必要は無いが、従業員が退職した際の積立金不足額は雇用主が責任を持って補わなければならない。

?旧制度分の積立て不足を精算師に計算してもらう必要はない。(積立て不足の計算は不可能であり、労工委員会の李来希處長(労働条件局)の話では「精算師に積立て不足を試算させるような
管理部担当者は、明らかな職務遂行能力不足なので解雇してかまわない」と言っていました。)

?2005年7月1日以前に従業員との合意により勤続年数買取りを行ってはいけない。


?2005年7月以降は従業員との合意で勤続年数を精算できるが、この場合の精算方法は労働基準法(旧制度)の規定により精算すること。

?旧制度の2%~15%の積立てをしていない企業は、過去においては罪を問われなかったが、7月以降は厳重に取り締まられるので、7月以前に中央信託局に会社名義の口座を設立しなければならない。
?中央信託局に積立てをしている労働者退職予備金は、2005年7月1日以前に入社した社員がいなくなるか、7月以降に勤続年数を精算すれば引き下ろす事ができる。

 
ワイズコンサルティング 吉本康志

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